山本呉服店の始まりは江戸中後期(明和年間1750年頃)に遡ります。
岐阜近郊にある城下町「揖斐(いび)」に兵八が住み着いて商売を始めました。当主になると代々「兵八(ひょうはち)」の名を継ぎ、明治初期まで八代続きました。
江戸末期には料理旅館と商人宿を営みながら着物も扱っていました。長く宿泊しているお客様のために着物を繕ったり新しいものを用意して買っていただいていました。
困っている方のお役に立つことから結果的に呉服屋になっていったようです。
明治23年、兵八の後を継いでいた「すぎ」が料理旅館をやめ、呉服屋専業にしました。
それを創業として今年で128年、私が4代目となります。
代々の当主の名前「山本兵八」から屋号を「山兵(やまひょう)」と定めました。
今もご年配の方の中には親しみを込めて「やまひょうさん」と呼んでくださる方もあります。
山本呉服店、代々に引き継がれた思い
商売を始めた時期からすれば250年、呉服屋専業になってからでも128年、その間には様々な変化や事件がありました。天変地異、大火、政治の変化、何度もあった大戦争・・たくさんの困難な時代を乗り越えて「山本呉服店」は引き継がれてきました。
決して大きな規模ではないけれど、どの時代にも地域のお客様に寄り添ってきた歴史でした。お客様に愛され支持なくしては続かなかったでしょう。
父や祖父、親戚や近所の年配者の方が口伝えに聞かせてくれた先祖の話に共通していることは3つのことでした。
お客様を第一に考え、自分の損得勘定よりも人間として正しいことを優先してきました。
世の中が変わり、お客様の生活ぶりが変われば、柔軟に対応してきました。
でも変えてはいけない軸、思いは決してブラさず 子、孫に伝えて行きました。
お客様と共に歩む姿勢、長年続いた着物に対する思いを引き継ぎ、さらに多くの方と出会うべく京都に「山本呉服店、京都店」をオープンします。そして代々親しまれた山兵の名を「山兵さろん」とします。
一人一人の方との出会いを大切に一歩づつ歩んでいきます。
どうぞ末永くよろしくお願い致します。
四代目 山本由紀子