「チップ」と「心づけ」の違い☆「品格の教科書」P74お金に”着物”を着せなさい
品格の教科書
人が「着物を着なければ外へ出られない」というのと同じように、
「物やお金も裸で渡してはいけない」と教えられてきました。
例えば、お金を人に渡す時は必ず封筒に入れたり紙に包んで渡します。
お祝いや香典だけでなく、お宮参りの初穂料、お見舞いも金封に入れます。
受付で渡す会費も、封筒に入れて差し出しなさいと父から言われました。
外国で「チップ」としてテーブルの上に置くことは
「支払う」「お金を与える」という行為です。
日本ではぽち袋や紙に包んで渡します。
それには「心づけ」という美しい言葉で表現されます。
今は全国の老舗旅館でも、京都の一流の料亭でも
ネットで予約できたり、サービス料も請求されるので、
「心づけ」を渡すことは少なくなりました。
私が学生時代、京都のおばあさんに料亭へ連れて行ってもらっていた頃は
「一見さんお断り」の料亭がまだありました。
「一見(いちげん)さんお断り」は
確たる紹介がなければ初めての方はお断りするという決まりです。
いわゆる会員制ビジネスのようなものです。
祇園など花街では今でも守っています。
お店の雰囲気を守るためにも、
優良なお客様だけとお付き合いすることを大切にするためにも続けられてきた方式です。
そういったお店では「心づけ」を渡します。
「今日はお世話になります」
という気持ちを込めて渡すものです。
今から思えば、おばあさんが心づけを渡していたお店の人は
素晴らしいプロとしての気遣いがありました。
それはサービスなどという軽いものでなく、
「お馴染みさん」として自然な、それでいて特別なおもてなしがありました。
おばあさんが心づけを渡すタイミングや言葉、渡し方を緊張しながら見ていたものです。
受け取った仲居さんも丁寧で洗練されていました。
配膳の仕方に無駄がなく、
食べる早さに絶妙なタイミングで持ってきてくださって、
食べた器を引く(片付ける)動作の美しさに見とれたものです。
さらりと季節や歳時記、興味がありそうなお話をしてくださったり、
当時の私は、とってもこんな真似はできないわと尊敬していました。
それはプロの客と接客のプロの見事なやりとりでした。
「心づけ」はまさに
相手に敬意を払い感謝の気持ちを表すことです。
渡す金額も違います。
お金をむき出しで渡すことは相手の方をその場で評価しているようにも思えます。
着物を着せるように「包んで渡す」それは
丁寧に心を添える形なのです。
熊本城ホールで講演します。
1月23日(日)13:45〜
会費 2000円
お近くの方、
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この際、熊本旅行しようかなって方
ぜひいらっしゃってくださいね。
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