北野天満宮の梅、円通寺のサツキ☆「品格の教科書」P60 事をうまく運ぶために「間」を見計らいなさい
「何と素晴らしい梅の木なんでしょう!」
先日、西陣のある機屋さんのお庭を見て思わず叫びました。
「今年は雪が降って寒かったのでまだ花が咲いていないんですよ」
個人的な好みですが、私は梅は蕾がそっとほころんだくらいが一番好きです。
ばーーっと咲いた梅は、清少納言の言葉を借りれば「わろし」です。
「天神さん(北野天満宮)の梅はいろいろな種類があるので、早咲きは咲いているそうですが」
「そうそう、天神さんには梅花祭ののぼり旗がいっぱい立っていますね」
「東風(こち)ふかば 思い起こせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな」
平安時代に九州の太宰府へ左遷された菅原道眞の有名な和歌です。
東(京都の方)から吹く風が吹いたら京都の梅の香りを送っておくれ。梅の花よ、主人(菅原道眞)がいないからといって咲くのを忘れてはならないぞ。
その句にちなんで北野天満宮には梅の花が植えられています。
2万坪の敷地に50種類1500本もの梅は種類によって次々と咲き、2月上旬から3月下旬まで楽しめます。
梅園の鑑賞料は1000円の入場料(茶菓子付き)です。
梅は開花した時ではなく、散り際にキリッとした芳しい香りが漂うように思います。
あの香りを嗅ぐと「春が来たな〜」と思わず深呼吸をします。
「お花見」といえば、何の花を想像するでしょう?
奈良時代、貴族社会では「花」というと「梅の花」を指していました。
平安時代に桜の花見が広まっていきました。
「それにしても見事な梅ですね」機屋さんの社長さんに言いました。
「実はうちの梅は紅梅なのですが、塀の向こうにお隣の梅の木があってあちらは白梅なんです。
お互いに借景になっていて『紅白』なんです」
「えーー、お寺の庭などではよく聞きますが、お隣どうしで借景ですか!」
京都の人はそんな粋な計らいをしたのですね。感心してしまいました。
「借景」とは、文字通り「景色を借りる」こと、
背後にある景色を庭園の一部として組み込む手法です。
京都には東山や比叡山を借景にした庭園がいくつもあります。
学生時代、おばあさんに教えられた圓通寺は
江戸時代初期に御水尾天皇が何年も探して辿り着いた景色でした。
苔と岩でできた枯山水の奥には、杉木立ちの間から比叡山の大自然を望む見事なお庭です。
近年、ビルなどが建って借景が失われたお庭が多い中でも、
円通寺は御水尾天皇が楽しんだその景色が残され、
「最後の借景」とも言われています。
ゴールデンウイークの前くらいでしょうか、
見事なサツキに彩られる名所でもあります。
ブログを書きながら、久しぶりに円通寺へ行きたくなりました。
「品格の教科書」は全国の書店さん、
またはアマゾンで手に入ります。
この記事へのコメントはありません。