ひたすら糸目糊を置く職人さん2☆「染めの百趣 矢野」見学記5

きもの豆知識

「ひえーー、この仕事を25年以上もやってはるんですか!」

知ってはいたものの、延々と続く辛抱強い仕事を目の当たりにして気が遠くなりました。

 

 

この職人さんがやってはるのは、一言で言えば「ぬり絵の線書き」です。

 

その中を「彩色」と言って色を塗っていくのです。

 

 

写真では生地をローラーのようなもので引っ張っているのが見えます。

 

ローラーで生地を天井まで立体的に引っ張っています。鳥居(机)の位置に職人さんが座ります。

 

着物1枚分の長さは12メーター以上です。

それを動かなくても狭い場所でも効率的に作業できるようになっています。

 

次の部分へ進むときは簡単に動かせます。

 

 

線を描くのは、いわゆるケーキのデコレーションをする絞り出し器です。

 

絞り出し器の先には金具が付いていて、その先端には針の先ほどの小さな穴が空いています。

 

絞り出し器の中へは特殊な米糊を入れます。

 

 

糊はその日の温度や湿度によって微妙に硬さが変わるので、自分で毎日作り変えるのだそうです。

 

糊も見せてもらいましたが、かなり粘着性が強く、それをあの小さな穴から絞り出すのはかなりの力が必要だと思いました。

 

 

一般には樹脂のゴム糊が増えているので、このような昔ながらの米糊を使う職人さんは本当に少なくなりました。

 

色が薄いところは青花の下絵、濃い部分が糊を置いたところです。(糊糸目友禅)

 

絞り出し器は手の握り具合で押し出される糊の量が変わります。

 

グッと握れば線は太くなり、弱ければ線が細くなったり擦れたりします。

 

太ければそこだけ線が強調されますし、かすれたら色が外へにじみ出ます。

 

 

一定の力で握って線を描き続けます。

疲れたからといって左手に持ち替えたり、指を変えたりなんてことはできません。

腱鞘炎のような病気になる人もいるようです。

 

 

到底私にはできないわ!

その前に、その場にずっと座り続けるなんて無理無理!!

(誰も私に期待してないけど・・・)

 

職人さんの忍耐強さで成り立っている仕事です。

 

「彩色」という綺麗なものができることに立ち会える仕事にはまだ若い女性の後継者があります。ですが、こういう目に見えない地味な仕事、知られていない仕事を生涯やろうという職人さんは本当に貴重なのです。

 

伝統ある技法を未来につないでくださる方に応援の気持ちを送るしかありません。

 

 

次は「彩色」です。

続く

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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