最高級の技術「糊糸目友禅」を支える職人さんたち1☆「染の百趣 矢野」見学記3
最高の生地を使い、最高の染めを提供されている「染めの百趣 矢野」さんの職人さんたちが作っておられる現場を見せていただく機会に恵まれました。
「染の百趣 矢野」さんとは、こちらをご覧ください。
熟練した職人さんを育てて、妥協なく最高の着物を作り続ける「染めの百種 矢野」☆いろいろな染め技術の現場は今1
私たち呉服屋でさえ、職人さんにお会いすることは本当に稀なので、自分のアーカイブのためにも残しておこうと思います。
ちょっとマニアックな話になりますが、お付き合いしてくださる方は読んでください。
着物を作るにはたくさんの過程があります。
一般に京都では一つ一つの過程がそれぞれ分業になっていて、簡単な染めでも一反の反物が京都市内を二十回以上もあちこちすると言われています。
色を染めたら蒸して色を止める、それだけでも反物は移動するのです。
それぞれの職人さんは超専門職でその技術だけを極めて他の加工はしません。
そこで、家内工業ー自宅の一部でずっとお仕事をされている場合が多いのです。
簡単に糊糸目友禅の工程を説明します。
1)柄の考案 過去の図案や、着物をお召しになる方のイメージを元に柄を決める
2)湯のし 白生地に蒸気を当てて、布目が狂わないようにまっすぐに通す
3)下絵羽 出来上がり寸法に合わせて仮縫いする
4)下絵 下絵師が青花で柄を書き上げる
5)糊糸目 下絵師が書いた柄の上に糊糸目をおいていく
6)地入れ 友禅(彩色)がしやすいように布海苔を引く
7)友禅 糸目で引いた輪郭の中に色を挿していく
8)友禅蒸 友禅した後、色落ちしないように蒸気を当てて色止めする
9)伏せ糊 地色を染める前に、友禅の上に色が入らないよう糊で伏せる
10)地染め 全行程の中で最も難しく、湿度・温度・風に左右され困難を極める。特に夏場は地獄と言っていいほど。
11)蒸:水元 蒸しは反物全体の色止めで蒸箱の中で40分〜1時間半位、120度の蒸気で熱処理する。水元は糸目糊:伏糊を洗い落とすと共に余分な染料を流して風合いを整える。昔は鴨川で友禅流しを行っていたが現在ではできなくなった。
12)金加工 友禅を施した上や糸目の上に筒で金を置いていく。これによって友禅が一段と鮮やかになる。
13)刺繍 刺繍をすることによって立体的になる
14)仮絵羽 着物の絵柄を見やすくするために仮縫いする。この工程で出来上がり。
このうちで糸目友禅、彩色、金加工の職人さんを見てきました。
その模様をお見せします。
続く
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