熟練した職人さんを育てて、妥協なく最高の着物を作り続ける「染めの百種 矢野」☆いろいろな染め技術の現場は今1
昨日は全国の着物専門店の奥さんの会「お女将さんサミット」のメンバーの方々と「染めの百趣 矢野」さんへ東京友禅の勉強と工房見学に行ってきました。
一部、フェイスブックでライブ中継もしました。
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矢野さんは、オリンピックで小池百合子都知事やノーベル賞授賞式で本庶博士の奥さまの着物を創られた染屋さんです。
6月京都での新作発表会にも毎年出品していただいています。
御所の西、国宝通りと言われる「重要無形文化財」指定を受けられた羽田登喜男さんや森口華弘さんなどの工房もあった地区です。
矢野さんは問屋さんと極一部の小売屋しか取引はされていません。
二階へ行くと金蒔絵のタンス3本と箱に丁寧に入れられた商品がきちんと積まれています。
紅白の梅のテーブルとともに25年ほど前に誂えで作られたものなのだそうです。
「コロナで職人が辞めてしまって、このままでは5年続きません」開口一番、矢野さんが言われました。
着物を作る上で困難な理由は大きく2つの問題があります。
一つは職人さんの高齢化です。
着物業界に限らず、職人さんは団塊の世代が一番若くそれ以上の年代の方の技術で続けられています。
「職人の世界はまず座り続けられるかなのです」じっとして黙々と同じことを変わらぬ気持ちでやり続けられるかが問われます。
手が器用か、センスが良いかの前に性質です。
修行中はほとんどお金にならないのにじっと一つのことをやり続けられる人は今はなかなか無いのです。
「私たちにはとても無理、無理!」奥さまたちは笑いながら口々に否定されていました。
もちろんせっかちな私には考えられません。
最低、10年は育てなければいけません。
途中で止められたら全てが水の泡になってしまいます。
もう一つは生地の手配です。
どの産地も生地を作る機屋さんが無くなってしまいました。
6月の新作発表会「京裳苑」に参加してくださっていたメーカーさんも口々に「生地の手配が思うようにできない」とおっしゃっていました。
そんな中で最高の生地を見立てて、いろいろな技術者を育てて一枚の着物を最高のレベルで作ってくださっている矢野さんにはありがたいな〜と感じました。
奥が深い着物の世界はいろいろな技術とそれぞれを担う職人さん、それを総合的にプロデュースする人によって支えられています。
生涯をかけて一生懸命に一つの技術を磨き頑張っていらっしゃる職人さんたちを応援したいという気持ちがますます強くなった1日でした。
今回は何回かに分けて、職人さんたちの技術と思いを現場から出来るだけ詳細にお伝えしたいと思います。
続く
「品格の教科書」は全国の書店さん、
またはアマゾンで手に入ります。
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