最も正式で大切な日に着る「黒留袖」とは☆謂れと歴史

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結婚式にお母さんが着るのは「黒留袖」です。

以前は「3親等まで黒留袖を着る」としたので、既婚の姉妹、お祖母さん、叔母さんは留袖を着ました。ですから、その方たちが黒留袖を着ることが本当は正式なのです。

 

 

洋服でも正式なのは「黒」ですが、着物でも黒留袖と黒紋付が一番正式な格の高い(フォーマル度が高い)着物となります。

それらには自分の家の「家紋」を5つ入れます。

両胸に2つ、後ろの背中心に1つ、両袖の後ろ側に2つです。

 

 

「黒留袖」は「振袖」と対峙しています。

昔は女性から「あなた、好きです」とは告白できなかったので、袖を振ったのです。

結婚したら「もう他の人には袖を振りません」という意味で袖を切って止める「留袖」と言われました。

そういう意味で「振袖」は未婚女性だけの正式な着物とされました。

 

 

母は結婚式に打ち掛けを着たのですが、最後に黒留袖に着替えて義母(父の母)と一緒に挨拶したそうです。

 

 

結婚式には白無垢を着ますが、白はどんな色にも染まります。

それに対して黒はもう他の色には染められません。

「黒留袖」にはそんな意味もあるのです。

 

 

ところで明治維新によって一般庶民も武士と同じように苗字(姓)を名乗ることを許されました。

そのときに「家紋」も家ごとに決められました。ですから、同じ姓の親族は同じ家紋であることが多いのです。

 

 

家紋はとても繊細な模様です。

「上絵師(うわえし)」と呼ばれる専門職の方によって描かれます。

 

 

黒留袖があれば、色留袖もあります。

黒よりは色の方がカジュアルになります。

従って、黒を着る親族より新郎新婦からの関係性が薄い方が着ることとなります。

今では一般的には、親を除く親族や女性上司なども黒より華やかな色留袖を着るのも良いでしょう。

 

着物でパーティーは圧巻でした

 

昨年の11月に東京のホテル椿山荘で「品格の教科書」の出版一周年記念パーティーを開催しましたが、その日はたくさんの結婚式が行われていて、黒留袖を着られた方とたくさんすれ違いました。呉服屋としてはとても嬉しく見ていました。

椿山荘という場所柄でしょうけど、古典柄の重々しい感じが多かったように思います。

 

古典柄の刺繍の黒留袖

 

一方、チャペルで行われる結婚式では周りが真っ白で洋風です。そういう場所では少しモダンな留袖もお似合いです。

 

モダンな色ですが、御所車の古典柄はチャペルの結婚式などにお似合いです。

 

 

「大切な人の大切な日をお祝いする気持ちをきちんとした着物で表す」

とても素晴らしいことだと思いませんか。

 

 

 

「京裳苑」では古典柄からモダンな柄、染め、刺繍などいろいろな技法の留袖に出会えます。

 

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京裳苑とは

 

京裳苑は毎年6月に京都、平安神宮前の京都メッセで開催しています。

今年で47年目です。

ひたすらお客様の指示があって続いてきました。

あの広い広い会場に、毎年20数社の染屋さん、機屋さん、小物屋さんなどが一堂に出品していただきます。

京裳苑ではさまざまな着物や帯を見放題、選び放題、そして実際に着てみることもできます。

自分の着物を持ってきて帯を合わせてみるなんてこともできます。

 

着物好きにはたまらない展示会です。

 

6月2日(金)3日(土)4日(日)

京都、平安神宮前 京都めっせ 1階

主催 株式会社 山本呉服店

 

 

ご予約の方のみのご案内となりますので、こちらからメッセージをください。

 

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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