丁寧に書く事は自分を大切にすること
「品格の教科書」に載らなかった話
「字がうまい人は関係ありません。ちゃんと相手のことを思って書くことが大切なのです」
菅官房長官が掲げられた「令和」の文字を書かれた茂住菁頓さんの言葉です。
「そんな書き方あるか!」
公の大切な書類に署名を済ませた夫に続いて、私も住所名前を書きました。
その時です、突然父が声を荒らげて怒りました。
「ささっと書いたものはいい加減に書いたとしか見えない。きちっと書こうとしていたら筆圧が強くて、そこに気持ちがこもるもんだ。お前のはなんだ! 字が上手いとか下手かは問題じゃない。よく覚えておけ」
滅多に怒らない父に叱られて、ショックでした。
茂住さんは国家公務員として内閣府で国民栄誉賞の賞状とか各府省庁の大臣の辞令などを「毛筆で書く」仕事をされていました。
「仕事で事例を書く時は頑張って良いお仕事をしてくださいと心を込めて書き書いていました」
形として整った文字というだけでなく、思いを乗せて書くからこそ重みを感じるのですね。
その茂住さんの言葉で印象に残ったのが「せめて自分の名前は丁寧に書くべきです」と言われた事です。
手紙やハガキを書くことは減りましたが、自分の名前をサインする事は多いはず。
自分の名前を雑に書いていると、それを受け取った人たちから雑な人だと思われてしまいます。それ以上に「自分はこの程度の人間です」と自分で宣言してしまう事になります。
父が激怒したのはそういう意味もあったのだなあと今さらながら思うのです。
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