気持ちを表す形☆「品格の教科書」P71見送りは「残心」にあり。心を途切れさせないこと
品格の教科書
「飛行機は間もなく着陸態勢に入ります」
熊本講演を終えて帰りの飛行機の中で本を読みながらぐっすり寝込んでいました。
アナウンスで目がさめると、CAさんが横に来て腕時計をチラッと見て
「お飲み物はいかがされますか?」
と聞いてくださいました。
緑茶をお願いしたら速攻持ってきてくださいました。
着陸態勢に入る時間を気にされていたのでしょう、
テーブルを出し、緑茶を置き、までは普通だったのですが
お菓子を上からバランと放り投げて(その時の私にはそう思えました)
慌てて去って行かれました。
きっと、置いた瞬間に
「私も早く着席しなくちゃ!」と心が飛んでいたのでしょう。
「慌てさせて申し訳なかったなあ」と思いました。
日本には、心を途切れさせず余韻を残すという意味の
「残心」という美学があります。
武道などで技を終えた後、力を緩めたりしながらも注意や緊張を一定時間保つことです。
先日もあるレストランで食事を終えた後、
お庭の樹齢150年を超える珍しい樹木の話をしながら
シェフが玄関の外まで見送ってくださいました。
素敵な時間の余韻に最後の彩りを添える感覚がしました。
ちょうどお香の「残り香」のようなふんわりした感じです。
京都の私のサロンへ来てくださったお客さまが帰られる時には
建物の中の路地を一緒に話をしながら外まで出て、
角を曲がられるまでお見送りしています。
それはマナーだからしているわけではなく、
一緒にいた時間がとても愛おしいものであって、
次また、いつ、
このような時間が来るのだろうかと名残惜しくて
見えなくなるまで後ろ姿を追っているのです。
「終わり良ければすべて良し」
再会を祈りながら
楽しかった時間を自分の中で振り返る「残り香」の時間なのです。
「品格の教科書」は全国の書店さん、
またはアマゾンで手に入ります。
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