母の決まった春の行事は☆季節を丁寧に感じながら暮らす

歳時記

「早く取りに行かないと、ほけちゃってるよ」

毎年、母は土筆(つくし)を取りに行きます。

つくし採りをしないと、春をいい加減にやる過ごしてしまった気持ちになるようです。

幼い頃からの習慣が未だに染み付いています。

 

私も母や祖母に連れられてつくし採りに行きましたが、今はそんなことをする子供はいません。

 

ツクシの名前は、地上に突き出るように芽を出す姿から生まれました。

「土筆」「筆の花」などと書きます。

 

それは、土から出てきた時は「袴」に覆われており、その形状が「筆」に似ていることから、この字が当てられたと言われています。

 

 

空き地には割り箸を突き刺したほど一面につくしが生えているところもあります。

 

頭はほけて、軸は痩せている、こういう土筆は美味しくないです。

 

採ってきたつくしは袴を取って、煮付けたり卵とじにしたりして食べます。

 

 

つくしの節のようなところに「袴」と言われるギザギザしたものがあって、

これは煮ても柔らかくならず、食感が悪いので先に取らないといけません。

 

袴を取ると指先が真っ黒になります。

 

これがなかなか面倒です。

 

その上、つくしのアクで爪の先が真っ黒になります。

 

 

洗剤でゴシゴシやっても落ちないので、母はたわしでこすっています。

着物を着ていて、指の先が真っ黒なのはあまりかっこよくないので必死でこすっています。

 

それでも、つくし採りはやめられないようです。

 

私はほとんど食べませんが、母は少しほろ苦い春の味を楽しんでいます。

 

 

実は、明治天皇もお好きだったようで、新宿御苑では栽培されていた記録もあるそうです。

 

つくしが成長する頃「スギナ」になります。

 

ツクシが枯れてカサカサになる頃、スギナが同じ地下茎から芽を出してきます。

 

スギナの根は深く、「地獄まで届く」ということわざがあります。

 

畑にはびこるスギナは本当に厄介者です。

強い除草剤も出ていますが、それを撒くと土壌が痩せてしまって作物が育たなくなってしまうと農家の方が嘆いていらっしゃいました。

 

昔から、アルカリ性(石灰を散布)にすると、生育が止まると言われています。

 

 

スギナは地上部を日干しにして、解熱、咳止め、利尿に薬用としても用いられてきました。

 

 

母は今年も何度かつくしを山盛りとってきて、春を満喫したようです。

 

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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