京都のおばあさんが教えてくれたお花の生け方2☆「品格の教科書」に載らなかった話3

「品格の教科書」に載らなかった話

「ゆきちゃん、玄関にそのお花、生けおし(生けなさい)」

えーー~、!! このお稽古花・・ 玄関にーー・・

 

 

いつも立派なお花が入っている玄関に、稽古を始めたばかりの私の花を飾るなんてとんでもない!

格落ちもいいところだわ。

 

 

そんなことは承知でおばあさんは実力行使に出たのでした。

そこまでのお話はこちらです。

京都のおばあさんが教えてくれたお花の生け方1☆「品格の教科書」に載らなかった話2

 

 

初心者向きの水盤(花器)に水が張ってあるだけの玄関は殺風景で、

貧弱な花でも何も無いよりはマシ! と自分を納得させ、

しぶしぶ持って帰ったお花をその場で生けました。

 

 

先生のところで直されたばかりなので、そこに気をつけていければ楽勝よ、

ささーっと終わり、完璧!!

おばあさんを呼びに行きました。

 

おばあさんはその花を見て

 

うーーんと少し考えてから

 

 

「ゆきちゃん玄関の外に出ておみ」

何かわからぬままに言われるままに一旦玄関の外へ出て、再びドアを開けて中へ入りました。

 

 

こんなはずじゃなかった・・・

あるべきところに花はなく、変な隙間が空いていました。

自分の花は無残なものでした。

 

 

おばあさんは言いました。

 

「お花は誰のためにいけるの?」

 

 

お客様をお迎えするためでしょう。だったらその目線で行けなければいけません。

 

 

先生のところで生けてきた花は 前に、座って、見れば良かったのです。

玄関から入ってくる人が見る視点ではありません。

お客様から見てキレイでなければいけないのです。

 

 

行ける場所によって配置が変わり、花の向きが変わり、生け方が変わるのは当然です。

 

 

同じ玄関でも玄関の脇に置くのと靴箱の上に置くのとは違いますよ。

 

冷や汗が出ました。

 

 

おばあさんはお花の生け方を通して大切なことを教えてくれました。

 

一つは、行動起こすときは「何のためにやるのか」「誰のためにやるのか」を考えなさい。

 

例えばお花はお客様に「よく来てくださいました」と言う気持ちを表すために生けるのです。

 

2つ目、おもてなしにおいて、良いかどうかを決めるのは相手です。

 

相手の目線で綺麗に見えなければ意味が無いのです。

 

自分が良いと思っても、相手が良いと思わなければダメなのです。

 

3つ目、口すっぱく注意するのではなく、そうせざるおえない状況にしてやらせる。

 

今から思えば、前日に2時間以上もかけて素晴らしいお生花を入れている姿を見せておいたのはおばあさんの作戦だったかもしれない、

お花の稽古が終わって帰ってくる時間を見計らって抜き去ってびっくりさせるためのシナリオだったのではないかと思うのです。

おばあさんの覚悟を見せつけられた思いがして、すぐに生けざるおえませんでした。

 

 

「お花を生ける」だけではない、

相手の目線や思いに寄り添うことの大切さを教えてくれたのでした。

 

 

おばあさんの教えはこれで終わりではありませんでした。

続く

 

 

品格の教科書」は全国の書店さん、

またはアマゾンで手に入ります。

 

 

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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