「幽玄」を玉三郎さんと鼓童さんに見た☆「鬼滅の刃」の三角の「鱗柄」は怨念を表します
日本文化であそぼ
「幽玄」玉三郎さんと鼓童さんコラボの舞台を大阪・松竹座へ見に行きました。
「これって本当に鼓童さん?」
鼓童さんというとエネルギッシュに身体を使い、力一杯太鼓を叩くと言うイメージだったので、裃(かみしも)を着てずらりと並んで太鼓を漣(さざなみ)のように軽快に叩いていらっしゃるのが不思議でした。
おまけに謡(うたい)までされるなんて思っても見ませんでした。
私が知らなかっただけで、2017年から「幽玄」の舞台をやられていたそうです。
鼓童さんの方から玉三郎さんに「日本的な題材でやりたい」と演出の依頼があったそうです。
能を大成した世阿弥は「幽玄」の姿であることが、第一に大事なことである。
「幽玄」とは音曲の美しさ、姿が美しく静に舞う姿など「美しく柔和な姿」という意味です。
幽玄な世界では“鬼さえも美しく舞う” それを感じられたのが最後の「道成寺」です。
紀州道成寺に伝わる、安珍・清姫伝説の後日の話です。
白拍子(舞を踊る娘)が紀州道成寺の鐘供養の場に訪れます。 女人禁制の供養の場でしたが、白拍子は舞を舞い歌を歌い、隙をみて梵鐘の中に飛び込みました。 すると鐘は音を立てて落ち、祈祷によって持ち上がった鐘の中から現れたのは白拍子が蛇に変化した姿でした。
最初に白拍子の赤い衣装で出てきた玉三郎さんは美しかったです。
しかし、後に蛇に変化することを「黒地に鱗柄の帯」が暗示していました。
三角形は魔物や病を示すものでした。
昔から、女性の心の中には鬼が住んでいると言われており、女性の本性や魔性を示す文様として、三角形を組み合わせた鱗文様が衣裳に使われているのです。
執念(しゅうねん)から怨霊や鬼、蛇体になった時は白地に金の鱗柄の着物に代わっていました。
その怨念を象徴する赤い鱗模様を着た人たちがたくさん舞台の上で暴れていました。
三角形を描くことで、忌み嫌うものを追い払う魔除けや厄除けの意味で使われるようになりました。
鬼滅の刃でこの鱗柄が使われているのはそう言う意味なんです。
能でも歌舞伎でも文楽でも役によって着物の柄が決まっています。
衣装にどのように使われているかが分かると、いっそうあらすじや意味が理解できますね。
こんなときも呉服屋の目線でしょうか?
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