正坐の技術☆「品格の教科書」P34 美しい正座を作る“ちょっとしたコツ”をお伝えしましょう2
「品格の教科書」に載らなかった話
「正坐」というと幼い頃、祖父が無言の圧力で足を崩すことを許さなかったことを思い出します。
正坐しなければいけない食事の時間は何より苦痛でした。
実は「正座」の歴史はせいぜい300年で、仏教とともにインドで発祥した坐禅が伝わり、そこから「正座」という日本独自の所作が生まれました。
「坐」というのは地の上に人がどっかりと腰を下ろしているという意味です。
「まだれ」を加えた「座」という字は、そうした場所や空間を表します。
坐禅では美しい正座の形を保ちます。
座布団をお尻の下だけに敷いて、お尻を高くすると自然と骨盤が立ちます。
その姿勢は腰や内臓にはストレスのない形なのです。
だからこそ、祖父は食事の時間に正坐を強要したのでしょう。今ならわかります。
昔は歌舞伎や落語などの鑑賞は終日ありました。「桟敷(さじき)」と言われる畳の席で1日座って見ていられました。椅子ではせいぜい2時間が限度でしょう。
座るのには「座る技術」というのがありました。
座り方にも「真・行・草」があります。
よく書道などで「楷書、行書、草書」があるのと同じです。
踵を開き、足首の間にお尻を落とした正坐が「草」
足首に直接体重がかからないので比較的ストレスがかかりません。
正坐初心者は「草」から始めるといいです。
足の先を組んで座るのが「行」
左右の踵をピッタリくっつけてしっかり骨盤を立てた正座が「真」です。
座禅における座布団の代わりの役目を踵がして、少し前傾姿勢になります。
正坐に慣れて足首の柔軟性が養われると足が痺れることも殆どなくなります。
目上の人の前や、クレームで謝りに行くと言う時はきちんとした姿勢を示すために「真」の座り方をします。
それは目の前の相手への敬意の姿勢となります。
座り方、形で自分の心持ちや内面までが見えます。
相手の話を真剣に聞き、真摯にものを拝見しようとする態度こそ、最も重要です。
そういった向き合う態度こそ良い人間関係を作る元となります。
この記事へのコメントはありません。