日本刺繍の研修会☆第47回京裳苑の打合わせに社員たちが京都へ

きもの豆知識

47年続く着物の新作発表会「京裳苑(きょうしょうえん)」の研修と打合わせに社員たちが定休日を利用して京都へきました。

 

京裳苑に今年初めて出品していただく日本刺繍の現場を見に行きました。

日本刺繍の基本を説明してもらいました

 

着物の長い生地を、刺繍する箇所だけ台にきっちり貼ります。

木枠の内側には2センチくらい毎に針が出ていて、そこに生地を引っ掛けていきます。

刺繍台

 

刺繍代を裏側(下)から見る

 

刺繍をしていらっしゃる職人さん(?)は20代〜30才を出たくらいの美大出身の若い女性ばかりでした。

 

というのも、

とても細かい仕事なので目が見えないと正確に刺せません。

 

細い糸を20センチくらいに切って使うので、何度も針に刺さねばいけません。

 

 

右手で上からまっすぐに(布に対して90度に)針を刺し、左手で布の裏から受け取ります。

下の左手から真っ直ぐ、柄の正確なところに刺し、右手で受け取ります。

延々とそれをやり続けるのです。

 

 

「肩がこらないですか?」

「同じ姿勢でずっとやっているので凝りますよ。

でも、細かい仕事が好きなんです。出来上がった時の嬉しさは格別です。だから続けられるんでしょうね」

と笑っていらっしゃいました。

あるお店の誂え柄を指していらっしゃったので写真はNGでした。

 

「紋のデザインもするんですよ〜」と手を止めて別の女性がニコニコ。

「花紋(はなもん)」は家紋のように決まったものではなく、花や御所車、月を眺める兎とか、時にはスズメがお米を食べている「舌切り雀」とか自由な発想で家紋と同じ位置にオシャレにつける紋です。

「とっても可愛いですよね〜。無地の着物などにもっとみんながつければいいのに」

刺繍って色々なオシャレができますよね。

 

刺繍糸がぎっしり詰まっています。

糸を砕いに巻いて使います。それがまたびっしり。

 

刺繍にもさまざまな手法があります。

上が一度目の刺繍、糸が長く浮かしてあります。
下が完成品。浮かした糸をもう一度刺繍して止めてあります。

裏から見るとこんな感じ。一度目の糸はほとんど裏を通っていないので重くなりません。

 

絞りの記事を貼って刺繍で止めてある名古屋帯です。白い部分は絞りです。

 

この付下げ、可愛いね〜。格式ばらずに優しい柄だから、入学式や卒業式だけじゃなく普通に小紋代わりに着られそうです。

清楚な付下げです。

拡大するとこんな柄です。

 

とてもモダンな黒留袖に出会いました。

刺繍の黒留袖。白い部分はビーズのようにキラキラ光っていました。

糸にとてもボリュームがあって立体的で色々に光っています。

 

欲しい道具は自分で作ってしまいます。

金糸はこんなふうに菌が巻き付けてあります。

 

金糸もいろいろ作ってしまわれます。金銀糸だけでなくパステルカラー、7色に輝くもの、捻ってボリュームがあるものなどいろいろデザインできます。

金糸の種類の多さにもびっくり

 

刺繍はとても立体的に柄が浮き上がります。

それだけでも柄になりますが、染めや絞りなど他の加工を施したものにさらに刺繍するという贅沢な加工でもあります。

この工房では染めや絞りもやっていらっしゃって、一貫して思い通りのものを作ることができます。

6月の京裳苑に初出品していただけるのが楽しみです。

会場でその技や糸のお話などさまざまなお話が直接聞けます。

ぜひ、力作揃いの京裳苑を見てください。色々な着物や帯に出会える展示会です。

 

*  *  *  *  *  *

京裳苑とは

 

京裳苑は毎年6月に京都、平安神宮前の京都メッセで開催しています。

今年で47年目です。

ひたすらお客様の指示があって続いてきました。

あの広い広い会場に、毎年20数社の染屋さん、機屋さん、小物屋さんなどが一堂に出品していただきます。

京裳苑ではさまざまな着物や帯を見放題、選び放題、そして実際に着てみることもできます。

自分の着物を持ってきて帯を合わせてみるなんてこともできます。

 

着物好きにはたまらない展示会です。

 

6月2日(金)3日(土)4日(日)

京都、平安神宮前 京都めっせ 1階

主催 株式会社 山本呉服店

 

ご予約の方のみのご案内となりますので、問い合わせからメッセージをください。

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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