着物を包む文庫は店の信用
お見立て
「コレ、おばあちゃんの帯。タンスを探していたら、こんな古い文庫に入っていたわ」
「わ〜、懐かしい〜〜」
着付け教室に来てくださっている方が見せてくださいました。
電話番号に市外局番がありません。
物心がついた時から着物がいつも周りにあったとはいえ、こんな時代を知っている私も随分古くなったな〜と苦笑!
歴史を感じました。
中に入っていたのは、しっかりした織の名古屋帯でした。
「昔でもこんなオシャレな帯があったんですね」
着物も帯も、着物を包む文庫と共に何十年も受け継がれていきます。
まだ私が中学校へ行っていた頃でしょうか。
三重県の見知らぬ女性からものすごい勢いで怒って電話が掛かってきました。
「あなたのお店はこんな粗悪のものを扱っていらっしゃるのですか」
いきなり怒鳴られたようですが、母は冷静にお話を聞いていました。
電話の方は当店の近くの方がお嫁入りされる先の姑さんでした。
でもそのお嫁さんのご実家は当店のお客様ではありませんでした。
よくよく聞いてみると
お嫁入りの荷物に入れるときに文庫だけ当店のものに入れ替えて持って行かれたことが判明しました。
それ以来、当店で購入していただいた物にしか文庫は入れない、余分にはお渡ししない、文庫のみを売ることはやめました。
何十年も残るものに対して、店が保証するという意味があるのだということを改めてキツくキツく認識した事件でした。
と同時に、
価格の安さだけにコミットしない、
「いつの時代も、自分たちがプロの目で見て真に価値あるものをお届けしてきた」と胸を張って言えることに誇りを持っています。
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