映画、是枝監督の「怪物」と「星の王子さま」

由紀子の日々

カンヌ国際映画祭で「脚本賞」を受賞した映画「怪物」を見てきました。

 

舞台となったのは諏訪湖を望む上諏訪の高台の小学校でした。

休みにはほぼ大好きな八ヶ岳を望む蓼科へ「空気を吸いに行く」私にとって、その景色は見慣れた物でした。

高速道路の陸橋や諏訪湖に迫り出す芦の岬は「ああ、あの辺りだからそれを映しているのは反対側のこの辺りかな?」「木々の緑が普通に美しいなあ」とか、余分な楽しみを持って見ていました。

 

 

何が「怪物」?

ひたむきに子供を思うシングルマザー?

ふてくされた先生?

心ここに在らずの校長先生?

問題を隠蔽しようとする学校?

 

 

よくよく真実を繋ぎ合わせれば、皆が「良かれ」と思って、一生懸命なのにすれ違ってしまうものだなあ、

と最後にため息!

そそっかしい私は最初の段階で騒ぎを大きくしてしまうのではないか、と思ったり。

真実はとても複雑で、きっと全部を説明することは不可能だろう、と思ったり。

そうなると結局、

相手のことをどれほど信じられるか、信じてて見守られるか、しかないのかもしれないな〜

 

 

ふと、星の王子さまを思い出しました。

「大切なものは目に見えないんだよ」

ネズミ色の帽子の絵が浮かびました。

(ほんとうは、帽子ではなく、ゾウを丸呑みした大蛇ボアの絵。

でも、この絵を大人に見せるたびに、「帽子でしょ」と言われ、「僕」は仕方なく中身のゾウの姿も描きます。)

 

 

名作だと聞いて何度も挑戦した「星の王子さま」

なんでこんな変な本が読み続けられているんだろう?長年、どうしても理解できませんでした。

(あの絵は、いまだに私には帽子にしか見えませんが)

 

自分が大きくなっていろいろな経験をするほど、「そうか!」とわかるところが増えていき、

「そうそう、そうなんだよね」と共感することも増えていきました。

 

 

表に見えるものだけで判断する危うさ、それを「怪物」で見た気がしました。

それにしてもこの複雑さを「伝える」是枝監督の描き方は素晴らしい!!

 

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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