「品格の教科書」は所作や風習の本として書いたものではありません。
着物
「自己啓発か経営本の棚に置いてほしかったなあ」本屋さんへ行くたびに思います。意に反して「品格の教科書」は女性対象の棚に並んでいます。女性の著者だからでしょうね。
私にとって「『品格の教科書』は所作や風習を書こうと思ったんじゃない」とつくづく思います。
私が幼い頃から呉服屋の跡継ぎにへ育てようと思って周りが教えてくれたことばかりです。それは商人としての心構えだけではなく、人間関係を円滑にする方法でした。
相手を大切にすることで、信頼を得て「この人ならばお付き合いしたい」「また会いたい」と思ってもらえる人になることでした。
呉服屋は着物と言う高額でその価値がわかりにくいものを買っていただく仕事です。
いかに自分と言う人間を信用していただいて安心して任せていただけるかです。
「着物を買いたい」と思っている方は、似合うものや自分が好きなものを選ばれるのはもちろんですが良質なものを手に入れたいはずです。それは長年技術を磨いた職人さんが手間をかけなければできません。単に安ければ良いと言うものではありません。
一方で高ければ良いと言うものでもありません。予算もありますし、高いからといって似合うものでもありません。
その方の気持ちになってプロの目で相談に乗るのが私たち呉服屋の仕事です。
それには着物に対する知識やスキルを磨くことはもちろんですが、それ以上に大切なのはお客様の気持ちを感じて寄り添うことです。
それは人と人との信頼関係の上に成り立っていることに他なりません。
そこでは自分の揺るぎない「あり方」が問われます。
全ての営業や接客業、サービス業に携わる方に「信頼を築く」と言う視点で品格の教科書を読んでいただけたら幸いです。
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