祇園祭の「ちまき」は厄除けのお守り☆食べられない「ちまき」の中身は?
歳時記
祇園祭の鉾や山で「ちまき」が売られています。
昔から取引先の問屋さんが祇園祭で買って持ってきてくださいました。
それを毎年取り替えて店の玄関に吊り下げていました。
「ちまき」というと端午の節句に食べるちまきを思い浮かべるので中に食べ物が入っている気がして腐らずに一年そのままにあるのがとても不思議でした。
子供ながらに神様が宿っている神聖なものという感じはしていたので好奇心はあっても見てはいけないものだと思っていました。でもある時どうしても見たくなって交換する時にとうとう思い切って内緒で解いてみました。茅の葉を開けると中に入っていたのはただのボール紙でした。何かいいものが入っているような気がしていましたので子供心に「なーんだ~」と拍子抜けした覚えがあります。
昔、蘇民将来という男の家に、旅人に身をやつした牛頭天王(八坂神社の主神スサノオノミコト)が訪ねてきて、一夜の宿を求めました。貧乏でしたが手厚くもてなした蘇民に牛頭天王は大変喜び、そのお礼に「今後お前の子孫は末代まで私が護ってやろう。目印に腰に茅の輪をつけていなさい」言い残して去っていきました。
そのお陰で後に疫病が流行った際も、蘇民の一族は 生き残り繁栄した…ということです。
このときの護符になった茅の輪は「茅」を束ねて「巻」いたもので「茅巻(ちまき)」と呼ばれ厄除けのお守りとなりました。
粽には「蘇民将来子孫也」という護符がつけられています。これは「私は蘇民将来の子孫です。なので病気や災いから護って下さい」という意味が込められています。因みに6月末に行われる大祓の「茅の輪くぐり」も同じ故事に基づいた行事です。
鉾や山で販売されている「ちまき」は厄除けの他にその由来に基づいたご利益があってそれを目当てに鉾や山を巡るという方もあります。
例えば船鉾(前祭)や大船鉾(後祭)、占出山(前祭)には安産のご利益があるとされています。祀られている「神功皇后」が子供を身ごもったまま戦に出かけ戻ってきて無事出産したという言い伝えから安産のお守りとして「ちまき」だけでなく腹帯を買い求める人が多いです。
保昌山は縁結び、カップルお揃いで持ち歩けるお守りもあります。
鯉山は立身出世、黒主山は泥棒除けなどです。
粽は500円~1000円ほどで売られていますが、それを買うと鉾や山に乗せてもらえるところもあります。
粽の一番人気は何と言っても「長刀鉾」前祭にくじ取らずで一番先頭を切って厄払いする鉾には8~10歳くらいの選ばれた男の子「生稚児」と二人の禿が乗ります。長刀鉾の粽は宵宵山の午前中で売り切れ、夜9時から再入荷と放送されていました。長刀鉾へはちまきを買った男性は乗せてもらえますが女性は会所から見るだけで入れません。昔からのいろいろな風習があるんですね。
粽一つでも成り立ちや謂れを知ってお祭りを見ると昔の人の思いに触れられますね。
私が知っていることをお伝えすることで身近に感じていただけたらいいなと思っています。
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