着物は着方によって、着る人のイメージも決める
「これでようやくわかりました、すっきり着られて嬉しいです」笑顔で喜んでくださったのは着付け教室へ何回も来ていただいているS様でした。
今日は岐阜で着付け教室でした。午前中は初心者の方と「かめコース」でした。「かめコース」はゆっくり焦らず楽しみながら着物が着られるようになったらいいなという方のコースです。
午後からは上級者コースでした。中でもSさまは着物歴もう20年以上、自分ですいすいと綺麗に着られる方です。ただ、襟が立って首が擦れる、襟がキリッと決まらないのが悩みでした。
長く自分で来ている方には、自分の癖があります。その癖がどこからそうなるのかを探すのは意外と難しいことです。
ところで、今日は一番むずかしい縮緬(ちりめん)の小紋の着物を持って来られました。
縮緬は高級感があります。私も好きでよく着ますが、着方によって特にイメージが変わる着物です。ダラっと着ると疲れたような感じ、下手をすれば、だらしない感じにも見えてしまいます。
まず、着丈が長く、おはしょりも少し長すぎました。そのままだと足が短く見えてしまいます。
少し短くすればいいだけだったので、腰紐を太いものに変えて、少し上の方で腰紐をしていただきました。
上の写真は細い腰紐です。太い紐は幅が段分違います。その分、おはしょりが上へ上がります。
腰紐の幅だけで腰から上の長さが減り、おはしょりを下ろすと少し短くなりました。
Sさまの襟の悩みの原因はやはり着る時の手つきでした。
襟が立つような癖になっていたのです。目の前でお教えすれば簡単なことですが、文章では分かりにくいので省略します。
襟がデコルテあたりにフィットし、胸元がすっきりしました。
胸元がすっきりすると、キリッとしたイメージになります。
着物は着方によって、着物の見栄えが変わり、着ている人のイメージまで決めてしまうものなのです。
着物は着ているだけで目立ちます。
「着物が自分で着られる」というレベルでなく、着方によってどう見られるかまで考えられるようになると着物上級者です。
これで良しとせず、もっと綺麗に着られないかな?と研究する気持ちを持ちたいものです。
もちろん私も同じです。
コツを手に入れて笑顔になられたSさまを見て、改めてそう思いました。
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