祇園祭、縄や飾りの「結び」は神様人間を繋ぐもの
「なんて美しいのでしょう!」心惹かれたのは七宝(しっぽう)の形に連続で組まれた紐は祇園祭の山伏山の飾りです。
祇園祭で賑わう室町通でたまたま前を通りかかった「山伏山」には2階に山伏の御神体が鎮座していました。
その飾りを見学に会所へ足を踏み入れました。
山鉾町内には必ず蔵を備えた会所があって、祇園祭の飾りや山の骨組みとなる柱などを保管しています。
飾ってあったのはペルシャから来たと思われる立派な刺繍の緞帳でした。
年を経て重みを増しているその刺繍は見事に盛り上がっていて、その技術の高さが見て取れました。
一本の紐を結んで、ここまでの芸術に仕立てるとは!!
「結ぶ」という言葉には、“ひも状のものをくくる”という意味のほかに、
「繋げる」「まとめる」「創る」「固まる」「締める」のようなさまざまな意味があります。
「人と関係をむすぶ」「契りをむすぶ」といったご縁や心をつなぐ意味でも使われます。
古来、願いを込めて結ぶことは、人の想いまでをも留まらせることができると考えられていました。
神社でも「しめ縄」という形で縄で結界を張ったり、願いを込めておみくじを「結ぶ」行為など、日本には「結び」に関する文化が多くあります。
例えば、結婚式やお祝い事などめでたい場で使われる水引も「結ぶ」ことにより、“人と人を結びつける”という意味が込められています。
大ヒットした新海監督の映画「君の名は」でも「結び」はストーリーを象徴するキーワードでした。
主人公、三葉のおばあちゃんのセリフを思い出しました。
寄り集まって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。
それが組紐。
それが時間。
それが結び。
糸を繋げることも結び。
人を繋げることも結び。
時間が流れることも結び。
<「君の名は」より>
自分の子どものことを「息子(ムスコ)」「娘(ムスメ)」といいますが、これも言葉もムスヒ(産霊)から生じた言葉です。
水でも、米でも、酒でも、何かを体に入れる行いもまたムスビと言う。
体に入ったもんは、魂とムスビつくで。
だから今日のご奉納はな、神さまと人間を繋ぐための大切なしきたりなんやよ。
<「君の名は」より>
「結びは神様と繋がるしきたり」と見ると祇園祭の見方も深まります。
美しいものを捧げ、祈った昔の人たちの気持ちが伝わってきました。
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