古事記にも登場する「伊吹山」を思う

由紀子の日々

「日本の100名山に数えられる伊吹山でございます」

JR東海道線でいつもに無いアナウンスが流れ、乗客が一斉に左の窓を見ました。

京都から揖斐への帰りの土曜日、いつもなら座れるのに電車はかなり混んでいました。

 

 

醒井から近江長岡の景色は穏やかで昔の面影を残していて、この辺りを通ると四季折々見入っています。

伊吹山自体は 個人的には東(大垣)から見た方が断然美しいと思っています。

 

 

百名山の基準とは、①品格のある山、②歴史ある山、③個性ある山であるということ。1,500m以上でなければいけないけど伊吹山は特別です。170m余り足りないのに指定されました。

 

 

 

伊吹山は「古事記」にも出てくる歴史ある山です。

ヤマトタケルが草なぎの剣を尾張(愛知)の美夜受比売(みやずひめ)のもとに置いたまま伊吹山の神を倒しに行き、逆に大氷雨を降らせられて、能煩野(のぼの/三重)で亡くなったと伝えられています。

 

 

伊吹山は織田信長が薬草の菜園を山中に作らせたと言うだけあって世界に誇る薬草の宝庫でもあります。

当店の本店「揖斐川町」(イビ)はこの裏側に当たり、麓の村では昔から石油ストーブの上に薬草を入れたヤカンで煎じて「百草茶」をお茶がわりにいつも飲んでいました。お客様のお家へ伺うと「体に良いからどうぞ、どうぞ」と勧められました。私はそれがとっても苦手で息を止めて飲んだものです。それでも何年か経って慣れてくるとその匂いはいい香りに思えるようになりました。

今でもその地元の春日のもりもり村のレストランではメニューにあって、コーヒーより安いです。それほど村の人たちにとっては日常のものなのです。

 

 

「伊吹山ってどれですか?」東京の組紐職人さんの親方から聞かれました。

「東京から京都へ向かう時、岐阜羽島駅あたりで前方で一番真っ白な山が伊吹山です」

冬がいちばん分かりやすいです。

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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