なぜ、畳の縁(ヘリ)を踏んでいはいけないのか☆「ごとうゆうこ 初めての着物に出会う」13

ごとうゆうこ、はじめての着物に出会う

「畳の縁(へり)って知っていますか?」畳の端に縁取りがしてある布です。

小さい頃からおばあちゃんに「畳の縁を踏むものじゃない」と教えられてきました。

「なぜ?」なんて考えもしませんでしたが、無条件に沁みついていました。

黒っぽい線が畳の「縁(へり)」です。お茶席では縁を基準にして動きます。

 

お茶を習い始めて一つの意味を教えていただきました。

畳の縁は聖地と俗世を隔てる境界線「結界(けっかい)」の役割があります。

 

結界という言葉は本来仏教用語で、寺院をの中に内陣(ないじん)・外陣(げじん)を分けるために設けられた木の柵です。

それは茶道の世界でも取り入れられていて、最初のご挨拶の際に「扇子」を使います。

扇子の内側は私、向こう側はあなた、お互いに領域を侵さず仲良くやりましょうということなんだそうです。

 

初めて会った方も、親しい関係の方も一番初めの挨拶にはお扇子を用いて御挨拶をし、親しい中にも礼儀ありという形で結界をし、ご挨拶の後、お扇子を外した時に心がほぐれる、心が通うということなんです。

 

 

畳の縁の柄はそこに座る方の身分で決められていました。

 

百人一首も身分が高い天皇や上皇の札には華やかな畳の縁が描かれています。

 

畳の縁には家紋が入ったものもありました。
最高位の天皇や皇后がお座りになる畳には錦の縁を使います。赤、黄、紫などの色に菱や花菱などの模様を織っています。

 

それ以外にも神社やお寺、武家や商家の格式によっても縁に家紋を入れたりするので縁はその家を象徴するものだったのです。

 

身分や家系の象徴である縁を踏むことは御先祖様を踏みつけてることと同様の意味になってしまうのです。

なので縁を踏まないようにするのが武家の嗜み、商家の跡継ぎをするものの大切な心得であったのです。

 

 

ゆうこさんもお茶を習い始めた時「畳一畳を何歩で歩くか」を教えてもらわれたはずです。それは畳の縁を決して踏まないための配慮です。着物を着ているのが基本の歩幅ですからスカートでお稽古しているとどうしても大股になってしまいます。というより、お茶のお稽古に行くときは着物を着ていくと「縦は何歩、横は何歩で歩く」なんて覚えなくても自然と身につきますよ。

ゆうこさん、お稽古も着物で行って欲しいものですね。また違った世界が見えてきますよ。

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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