日本人がお行儀よく並ぶ理由は「結界」が染み付いているから?

日本文化であそぼ

現在では住まいが洋風化し空間を壁で区切るようになりましたが、和室はもともと可動自由な広い空間でした。それを用途によって障子や襖で区切りプライバシーを守ったのです。

 

壁とは違って、紙や布、畳のヘリで区切った危うさ、微妙さは 日本人が白黒つけずにグレーの立場をとることと共通しているような気がします。

 

戦後、日本人の曖昧な物言いは優柔不断と判断されました。白黒つけることは潔いと思われがちですが、人間関係において、いつも0か100か割り切れることばかりでしょうか?

白黒つけるのは自分です。それは相手の立場や言い分を牛耳って、自分の考えや思いを押し付けることになるのではないでしょうか。

 

東日本大震災の時、食べ物がなくても日本人は奪い合うことをせず静かに列に並びました。その態度は世界から賞賛を得ました。自分の命がかかっている時には食べ物を真っ先に得たいとする行為はむしろ当然でしょう。

 

そんな時でも「困っているのは自分だけじゃない」と自分を守りながらも相手を尊重する、その境目の危うさをお互いに思いやりながら列に並ぶ、

それは「結界」という考え方が染み付いているからだと思います。

 

壁を設けず、時には結界を移動させて、状況に合わせてお互いを認め合い譲り合う美しい心は千年の歴史に育まれてきたと思えるのです。

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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