お盆の意味と行事3☆おしょらいさん迎えと大文字の送り火
ピンポーン、パシャ
慌てて新幹線に乗ろうと回数券を入れたのですが、改札で止められてしまいました。
「あー、11日からはお盆期間だった!」回数券が使えないのを忘れていました。
立命館の学生さんたちが浴衣の着付け教室に来てくださるということで京都へ向かいました。
日本においてお盆は「盆暮れ正月」と言うくらい大きな行事です。
しかし仏教発祥の地であるインドや中国では日本のお盆のような習慣はありません。
お盆は仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」に日本の先祖供養の習慣が融合した日本独特のものだと考えられています。
亡くなった母親が餓鬼道に落ちて苦しんでいるのを助けたいと願う弟子に対してお釈迦様が「夏の修行の最終日にあたる7月15日に修行者たちに食物を施しなさい」とアドバイスしたところ母親は成仏したと言う話があります。このときの7月15日とは旧暦ですから、新暦の8月15日に当たります。
さらに日本にはもともと8月の半ばごろに一族が集まり、収穫した食物を先祖に捧げると言う風習がありました。
そこで2つを融合して8月13日から16日までをお盆として盛大に先祖供養をするようになったのです。
ただし8月ではなく7月にお盆行事を行う地区もあります。
一口に言ってお盆とはご先祖様の霊を迎え、また送り出す行事なのです。
うちは浄土真宗なので、お仏壇の飾り物を綺麗に磨き掃除して、お寺さんにお参りしてもらい、
お墓を掃除してほおずきと盆提灯を飾るくらいのことです。
京都の親戚は浄土宗知恩院派でした。
お盆前にはナスやキュウリに割り箸をさして準備をします。
それらは牛馬に見立て、馬に乗って早く来て、牛の乗ってゆっくりお戻りくださいという意味があるそうです。
お盆中は朝昼晩三食、精進料理を作り仏壇にお供えします。
叔母はいつも昆布と鰹節で出汁を取っていたので、精進料理を作るとなると鰹は生臭ものなので昆布だけで出汁から別に取らなくてはいけません。この時期、叔母にとって家族の食事の他に、煮物なども別の出汁で毎食作るのはかなりの負担でした。
京都でのお盆の終わりは「大文字」です。
大文字は京都市内を見下ろす五山で松明を焚いて、お盆に帰ってきたおしょらいさん(お精霊さん:先祖の霊)を迷いなく送るための行事です。
親戚の家は大文字の五山のうち「舟形」のそばでした。
京都駅の方から見ると少し左手奥です。
松明がパチパチと萌えるのが聞こえるほど近かったので、たくさんの見物人たちが家の周りに集まって見ていました。
叔母は暑い夜に立って見ているのは大変だと、家にあるだけの椅子を外へ出し、冷たいお茶を出していました。
大文字の火が消えると「やれやれ、おしょらいさんも無事帰られたしお盆もこれで終わった、明日からご飯も作らんでええし、ほっこりしたわ」と毎年ため息をついていました。
お盆に帰省してお墓参りをする、というのはこんな意味があるのです。
帰省する客を迎えるだけでなく、おしょらいさんが帰ってこられる「お盆」は主婦には大変な行事なのですね。
今年は小池知事が「帰省は諦めて」と規制されたようで残念です。
早く大文字が穏やかに見られる日が来ることを祈っています。
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