「伝統」と「伝灯」の意味は?「品格の教科書」のサインに込めた思い☆意味がわかると納得できる
日本文化であそぼ
「懐かしい事ばかりでした」
呉服屋さんのおかみさん達にとっては私と同じ経験をされている方も多くて、とても共感してくださいました。
「知ってはいるけど、理由がわかったので納得できて、すとーんと腹落ちしました」
と言っていただけてとても嬉しかったです。
「本にサインしてください」と言っていただけて、
おかみさんサミットの方には「伝灯を継ぐ」と書きました。
今は「伝統」の字を書きますが、
もともとは「比叡山の不滅の法灯」からいわれがあります。
788年に最澄が比叡山延暦寺の根本中堂の本尊に灯明をかかげて以来、1200年一度も消えることなく輝き続けています。織田信長の比叡山焼討ちで一度は消えたものの、山形県の立石寺(りっしゃくじ: 芭蕉が「さびしさや 岩にしみ入る蝉の声」と詠んだお寺)に分灯されていた灯りを再度戻して繋いで今も燃え続けているのです。
1200年灯火を切らさずに燃え続けさせるためには、絶え間なく油を注ぎ続けなくてはいけません。
油を切らせば灯火は消えてしまいます。
それを「油断」というのです。
明治政府は「伝灯」は宗教色が強いとして「伝統」に変えてしまいました。
それによって、「伝統」とは糸を紡ぐことに意味が変わってしまいました。
「風習は呉服屋か饅頭屋に聞け」と昔は言われたように、
贈答やお付き合いのルールを伝える役割は呉服屋とお菓子屋さんがよく知っていて、指導する立場でした。
「こういう時はどうする」と地域の習わしの相談に乗ってきました。
呉服屋の奥さんこそ、伝灯に油を注ぎ続ける役目を担っているのではないかと思うのです。
歴史的に見てもその時代によって変遷してきて今に伝わってきています。
呉服屋こそ、時代が変わったのだから勇気を持って変えなければいけないのでしょう。
着物も「今の時代に着る」新しい価値を提案していかなければいけないと強く思いました。
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