着物の着付けってみんな違います!体を締め付けないのに着崩れしない着方
「楽そうに着てはりますね~」と声をかけてくださったのは20代のお嬢さんTさんでした。ずーーっと私のことを目で追っていて何かしゃべりたそうでした。「はい、朝から晩までいつも着物ですから」と笑うと「もっと早く山本さんと知り合いたかったな~」と言われました。
「えっ、どうして?」と聞くと
「私ね、七五三の時におばあちゃんが綺麗な着物を作ってくれてそれを着るのをとても楽しみにしていたんです。でもね、美容室で髪を上げてもらって着物を着せてもらったら息もできないくらい苦しくて・・・ 家族はみんな綺麗、綺麗と褒めてくれたけど死ぬほど苦しかったんです。その時決心しました。一生着物なんか着ないと。」
「じゃあ成人式はどうしたの?」
「もちろん着ませんでした。おばあちゃんも母も振袖を作ろうとしていましたが私が頑として拒否しました。成人式に洋服で行ったのは私一人だったけど友人を羨ましいとも思わなかったですよ。あの苦しさは忘れられなかったから。」彼女の決心は並大抵のものではなかったようでした。
話を聞いてTさんがかわいそうで、そんな不幸な人を作ってしまったことに着物に関わるものとして申し訳なく思いました。
「当店の近くならずっと着付けて差し上げられるんですけどね。よかったら私の着方をお教えしますよ」と言ったら「自分でできるようになればいいんですね。よろしくお願いします」とニッコリされました。
当店の着方は毎日着物を着て過ごしてきた母が何十年もかかって改良を重ねてきた独特の方法です。一番のポイントは長襦袢の着方です。
長襦袢の後ろに引っ張り布を付けてそこにコーリンベルトを通しておいて両脇で止めます。
長襦袢の着方
両脇と後ろ3点を固定すれば三角形ができて固定され、中で体が自由に動くのです。コーリンベルト(下写真、一番左)はゴムなので伸びてもまた元へ戻るのです。
詳しくはいろいろな工夫の積み重ねがありますが、長襦袢はコーリンベルト1本だけで着ます。同じように着物を着るのも腰紐は1本とコーリン結び(写真右から2つ目、コーリンベルトが2つに分かれたもので脇にゴムが入っています)と伊達締め1本しか使いません。
締め付けるものは1本でも少ない方が楽に決まっています。これだけで決して着崩れしません!
動く体に柔軟に対処できるのでむしろこの着方の方が崩れないんです。
きちんと着るだけの着物の着方ではなく、ゆったりと着慣れた感じに見えます。
「こんなに楽でいいの〜?」といつも言われます。圧倒的にシンプルな着方です。
ただネットでは細かいところが伝えきれません。ちょっとしたコツの積み重ねで見栄えも楽さも全く違います!
これから「山兵 京都」でもリアルでお教えしたいと思います。
6月開講の予定です。ご案内しますので是非体験してみてくださいね。
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6月開講予定 山本由紀子の着物、着方塾
京町家さろん「山兵 京都」
京都、四条烏丸駅から徒歩300歩
塾に行きたい、詳しいことを知りたい、こんなことはどうなの?相談してみたい、お問合せにご意見を書いてくださいね。
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