新入社員さんに本「品格の教科書」をプレゼント☆「品格の教科書」P9時代とともに変わる1「作法」、変わらない「あり方」
「新入社員に『品格の教科書』をプレゼントしたいのですが、サインをして送ってもらえませんか」
そうメッセージをくださったのは奈良の老舗和菓子店「千壽庵吉宗」の「わらびもちこさん」こと山本隆子さんでした。
もちこさんはワクワク系マーケティング実践会の心友で、私の出版記念パーティーでもご挨拶してくださいました。
軽くお引き受けしたものの、以前にあるお客様が言われたことを思い出しました。
そのお家のお嬢さまに和菓子屋さんから縁談があったのですが、うちの娘には無理だとお母様が断わられたと言うのです。
「和菓子屋さんと呉服屋は地域で風習や作法を教える立場にあるから」と。
和菓子屋さんは例えば、のし紙をかけるのは包装紙の中か外か、表書きをどうするかなど贈答の目的に応じて包装の形を整えてお菓子を渡さねばいけません。
その話を思い出したとき、
ただ本にサインして送ればいいというものではないなあと思いました。
伝統文化がしっかり根付いた奈良の和菓子屋さん「仙壽庵吉宗さん」へ就職された方たちは作法や風習のプロとなられる人たちです。
その方たちに「品格の教科書」を使っていただけると言う事は、
最上級の贈答の形で気持ちを伝えるべきと思いました。
そこで、奉書紙をかけ水引を結んで熨斗を付けました。
今はほとんど絶滅した伝統の形、結婚式の前に行う「結納」など、正式な贈答でも使う方法です。
「水引を結びました」と簡単に書きましたが、実は母がやってくれました。
呉服屋で水引が結べる人はほとんどいないと思います。
そういう私も多分できると思いますが、何十年もやったことがありません。
昔は「結納屋さん」の仕事でした。
「結納」そのものをやらなくなった今ではほぼ絶滅です。
それにつれて、水引の需要は無くなりました。
水引の産地はと飯田(長野県)伊予(香川県)金沢(石川県)京都です。
飯田へ買いに行ったらお花のラッピングに使われるパステルの水引はありましたが、
欧米の「ラッピング」と日本の「包装」とは全く意味が違います。
紅白の水引が製造中止になっていたのにはショック!
白い水引を作って、片方だけ真ん中まで赤に染めねばならないので余分に手間がかかるし、
作るところなんてないよと言われました。
びっくりするやら落胆するやら・・・
「どうしたらいいんでしょう?」
「昔、扱っていた業者のところに残っているのを探すしかないね」
えーーーっ・・・
半信半疑で何十年も前に取引のあった紙屋さんを訪ねました。
果たして、94歳と言われる社長さんが元気で営業していらっしゃいました。
「お久しぶり〜〜」
「水引ってありますか?」
あると言われて、ほっ!!
「もうこんな仕事をしているのはわしくらいのもんや。みんなやめてしまったわ」
「紅白の水引なんて需要はないよ」
かつて一緒に仕事してきた社長さんの言葉は
呉服屋の私には、他人事とは思えませんでした。
続く
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第45回 京裳苑
■ とき 6月4日(土)5日(日)6日(月)
■ 場所 京都・平安神宮前 みやこメッセ
■ 主催 (株)山本呉服店
*山本呉服店のお客様、特別ご招待の方のみとなります。
見てみたいと思われる方はお問合わせからメッセージを入れてください。
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