外国ではお太鼓じゃなくていい!華やかな帯結びで☆亡くなったお母様も一緒に卒業式

由紀子の日々

「もうロンドンに着かはった頃かな?」時計を見てNさんのことを思っていました。

代々親しくさせていただいているお客様Nさまの息子さんがロンドンのインターナショナルスクール(高校)へ通っていらっしゃいました。その卒業式に出席されるためにご主人さま、お祖父さまとご一家揃って出掛けられました。

卒業式の前夜にはパーティーが催され、卒業式はまた昼間にガーデンパーティーがあるんだそうです。前夜のパーティーは学生は最上級のドレスコードで出席と決まっていて女の子はレッドカーペットを歩くようなイブニングドレスを着るんだそうです。

Nさまは「息子の卒業式に出席するなら日本人はやっぱり着物でなくちゃ!」と一大決心!

「外国ではだれも頼れないから」とお仕事で忙しい中、熱心に部活(着方教室)に通い、自主練もしていらっしゃいました。

皆さん熱心に着物部活中です。

 

いつも当店で着付けさせて頂いていたNさまでしたが4回目にはキレイに着られる様になられました。袋帯の変わり結びも前で結んで後ろへ回せば外国で一人でも結べます。

 

この写真を見て着物が少しお分かりの方なら「あれ?」と思われたのではないでしょうか?

日本では正式な帯結びは袋帯を「二重太鼓」に結ぶことです。いわゆる背中に四角く結びます。羽やリボンを作って華やかに結ぶのは振袖など主にミスのみと思われていると思います。

 

日本では振袖以外にはお太鼓を結ぶのが圧倒的に多いです。車に乗ったり椅子にもたれたりするには楽です。

 

しかし外国人にとって「お太鼓結び」は随分奇妙なものに見えるようです。

 

大分前のことですが父と母がヨーロッパへ旅行した時に、母はホテルでのディナーに着物で行きました。

お太鼓を結んで行ったら「日本人はなんで四角いものを背負っているんだ?」と聞かれたそうです。

綺麗な着物なのにその箱型のものが変だというのです。それ以来、母は「外国ではお太鼓を結ぶのはやめたほうが良い」とお勧めしています。

自分の経験から外国であえて日本の風習そのままをしなくちゃいけないなんて思わないほうがいいというのです。パーティーやディナーはもちろん、外国の方々の目を楽しませてあげて自分も華やいだ気持ちになれればいいのではないでしょうか。

 

「お母さんが大好きだった着物を着て卒業式に行きたい」「お母さんもいっしょにロンドンへ連れて行ってあげたい」の夢を叶える為に一生懸命レッスンされました。

 

彼女は「亡くなったお母さんを一緒に連れて行ってあげたい!」とお母様の着物をディナーに着ることにされました。

着物ってその方の思い出や生きていた証を引き継げるものだと思います。

お母さまの事を今も大切に思っていらっしゃるNさんの気持ちにちょっとウルウルときました。

 

帰国されたら着物のお手入れを持って来てくださると思います。滅多に経験できないインターナショナルな儀式の写真も沢山撮って来られるでしょう。

きっと着物姿は大絶賛でしょうね!お土産話が楽しみです🎵

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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