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伝統を守り次代へ引き継ぐということ☆パーティーにぴったり「天草更紗」の復活

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「天草更紗を染めてみました」

そう言って着物を見せてくれたのは京都の染めのメーカーさん「西原」さんの西村さんでした。クリアーな色、可愛い柄、何よりも今まで見たこともないテーストの小紋にに思わず目が留まりました。

久々に自分も着てみたい更紗に出会えました!

 

西原さんは京都でも超一流の技術を持つ染めのトップメーカーさんです。主に小紋と名古屋帯を染めていはります。特に小紋の染めを担当している西村さんの色の感覚は素晴らしくて当店のお客様にも彼のファンはとても多いです。

 

京都の染めメーカー「西原」さんの西村啓太郎さんです。若いお嬢さんも「かわいい〜、これいいなー」彼のファンです。

 

「天草地方で伝統的に染めていた更紗を染める人が無くなっていたんですよ〜。繋いでくれる人(紹介してくれた人)があってね、残っていた型紙を使って染めてみました。天草更紗を知っている中村さんって方が指導してくれはったんです。」と西村さん。

 

天草更紗の名古屋帯です。

 

更紗(さらさ)って知っていますか?

 

漠然と更紗ってこんなもの、というイメージは湧きますが、おおよその定義は「異国情緒漂う多色で花や人などの模様を染めた布」だそうです。

 

更紗はインドを発祥として紀元前3世紀頃から木綿の生地に手描きで染められていました。王侯貴族から庶民まで欠かせない布でした。ヒンズー教では自然のあらゆるものに神を見出し野生の動物や草花が溢れる世界は楽園の象徴でした。インド茜の根から取り出した深く力強い赤は更紗の特徴的な色です。生命力を表し、長寿や家族の繁栄を祈って使われました。

インドの更紗は柄が一面に埋め尽くされています。

 

 

更紗はインドからシルクロードを通って(15~17世紀)西はペルシャからヨーロッパへ広がりました。イギリス「チンツ」、フランス「ジューイ」華やかで可愛らしいドイツ更紗など欧風花模様プリントのきっかけになりました。

 

15世紀頃のオランダの民族衣装です。インドの更紗そのままの色柄です。

 

18世紀頃になるとヨーロッパに渡った更紗は余白があって明るくスッキリした感じに変化していますね。

 

 

東へはタイ「シャム更紗」、ジャワ「バティック」、中国、日本「和更紗」とそれぞれの国の風土で独自の発展を遂げていきました。

 

更紗はお茶の名物裂などとして珍重されました。

 

日本へは室町時代に渡ってきた更紗は珍しさと強烈な個性で南蛮渡来の舶来品として一部の上流階級や茶人の間で「名物裂」として珍重されました。

江戸時代に木綿の栽培が日本でも始まったことでインド更紗やジャワ更紗が模倣され、次第に日本独自の模様や構成で変化を遂げていきました。しかし戦前までは男性の下着や小物、裂地として利用されるのみで絹の生地に染められることはありませんでした。高級着物として流行したのは戦後です。

 

バティック柄の小紋ですがしつこさが無くて気に入っています。帯も異国情緒があってバティックにしてみました。

 

こってり「過剰の美」とも言えるほど多くの色彩を使う更紗は余白の美、空間の美を重んじる日本人にとって着物の柄にはなりませんでした。

私も多色使いなこってり感が苦手で更紗の着物は着ませんでしたが京都のあるメーカーさんが「バティック」と称して京更紗のスッキリした小紋を染めたのを見て作りました。他の着物とは違う雰囲気を持つこの着物を着ると気分転換になります。

 

私物のバックです。京都の「岡重」さん製で、京更紗の帯や着物も染めています。柄はインド更紗特有「象」と唐花の模様ですが京都らしい優しい色です。軽くて丈夫なのでパソコンや書類を持ち歩くにも重宝しています。

 

更紗文様って柄に意味があります。

ハスは再生と創造の象徴

は幸運を授けてくれる聖なる動物

立ち木は動植物が集う中心として常に描かれてきました。立ち木として描かれた松は長寿の象徴、そこにおめでたい鶴が舞うのはまさに楽園を現したのです。

 

お花と立ち木の柄は生命力を表します。

 

日本の更紗は染められた所によって4つの種類があります。

 

江戸更紗  30枚以上の型紙を使って染めます。本来の更紗の雰囲気を強く残しています。

京更紗   京友禅のような華やかな更紗で型紙を使って染める。

鍋島更紗  鍋島藩(佐賀県)の保護を受けながら発達した更紗で木版と型紙を併用して染める。明治時代に一時途絶えたが現在また復興されている。

天草更紗  天草(長崎)で文政年間(江戸口後期)に生まれた更紗。伊勢型紙(三重県白子地方で伝統的に作られている着物を染めるために作られている型紙。柿渋に漬け乾かした丈夫な和紙を彫刻刀で彫ります)を使用して染める。

 

天草更紗の小紋の着物です。

 

今のオランダの民族衣装です。柄はペイズリーなどの更紗模様ですが白の空間があってヨーロッパの洗練されたイメージに変わっています。

 

何百年も引き継がれてきた伝統文化はそれを使う人と共に変化して引き継がれてきました。素晴らしい技術をきっちり踏襲しながらも今の生活に生きていくものに変割っていく必要があります。

 

西村さんがプロデュースされた可愛らしい天草更紗はヨーロッパ調の空間、例えばホテルのパーティーで着たら綺麗だと思いませんか?

いつもなら洋服を着て出席するパーティーや食事会などに着て行ったら注目を集めそうですね。

 

天草更紗はハツラツとして笑顔で歩けそうです。

訪問着もあります。儀式用ではなくパーティーなどに華やかに着れそうですね。

 

「この着物、可愛い~~」「着てみたーい」と思った方、京裳苑で試着してみませんか?反物のままで着装できますので着物になった感じがわかります。ぜひ、6月初めにみやこメッセへ来て試着してみてくださいね。私も久々に更紗を着てみようと思っています🎵

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第41回 京裳苑(きょうしょうえん)

2018年  6月 2日(土)3日(日)4日(月) 

京都・平安神宮前  みやこメッセ

主催   岐阜 山本呉服店

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* 当店のお客さまのみの催しです。初めての方は前もってお問合せフォームからメールでお知らせください。追って詳しくご連絡させていただきます。

* 山本呉服店 北方店、池田店から毎日大型バスが出ますのでお近くの方はご利用ください。

みやこメッセの入り口です。

 

まだ間に合います!よろしかったらお電話かお問合せメールをくださいね。

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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