足袋の履き方と大きさ、昔語り
足袋が靴下と違うのは親指と人差し指の間が離れていることです。
その隙間に草履や下駄の「つぼ」(鼻緒をすげてある真ん中の部分)を挟んで履きます。
親指と人差し指の間を広げることで、外反母趾を直すこともできます。
「親指と人差し指の間を刺激すると頭が良くなるんだよ」幼い頃、祖母はよく言いました。
あまり信用はしていませんでしたが、呉服屋の子なので洋服を着ていても草履を履いていました。
ところで、足袋は普通は「綿」でできています。
足袋に皺が寄るのは「野暮」だとされたので、芸者さんたちは足袋屋さんで自分の足の木型を作ってもらってオーダーしていました。
ビシッと足に吸い付くような足袋は靴下のようには履けません。
そこで、半分をひっくり返して、つま先部分を先に突っ込んだ後、ひっくり返した部分を足に沿って足首まで引き上げます。
お茶会などで用意する「替え足袋」もこのように半分裏返して持っていきます。
玄関でささっと履き替えるのに便利です。
余談ですが、外で汚れたから足袋を代えるのではありません。
汚れてなくても外の「ケガレ」を内に持ち込まないためです。
楕円形の半分の様な金属の板を「こはぜ」と言います。
足首に沿って下から「こはぜ」をもう一方の紐に引っ掛けていきます。
足袋には4枚こはぜと5枚こはぜがあります。
花嫁や踊りなどで裾を引く着物を着るときなどは足首が見えやすいので、5枚こはぜを履きます。
一般的には4枚で事足ります。
私たちは毎日普段に履いているのはポリエステル素材の伸び縮みする物です。
履いていてもつま先がツンツンしないし、洗うにも楽です。
でもポリエステル足袋は歩いたり動いたりすると静電気が発生しやすいです。
着物や長襦袢の裾を汚しやすいので、本当は綿のほうが良いです。
昔は旅の大きさは「文(もん)」で表しました。
「文」は昔のお金の直径の長さでした。
10文(ともん)は24センチでした。そうすると「1文」は2.4センチと言うことになります。
以前、プロレスラーのジャイアント馬場さんの武器は「18文キック」でした。
それを計算すると43.2センチとなります。
多分、その強さを大袈裟に言ったのでしょうね。
「尺貫法」による測定は1959年に廃止すると決まりました。
「日本の伝統や情緒を守らなければいけない」と永六輔さんが反対運動をされて、一部残す事を許されました。
呉服屋の当店はいまだに「鯨尺」を使っています。センチ表示では端数が出て大変です。
今や、足袋を履くことも減ってしまい生産も激減ですが、一方でカラフルな「地下(じか)足袋」が海外でも人気があると聞くと嬉しくなります。
この記事へのコメントはありません。