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着物は裁断によって出来上がりの良し悪しが決まります☆裁断を山本呉服店内でやり続けている3つの理由

着物

「わ~~、いいなーー」

着物を選んでいただくとき山本呉服店では必ず試着をしていただきます。

クールビューティー!キレイですよね!反物のままですが着物を着た感じがリアルに見られます。こうして選ぶと間違い無いですね。

 

反物でも着物を着た感じにフルコーディネートをして出来上がりを見ることができます。そのときにどの色や柄がお顔の近くにすると映えるか見ながらお着せします。

 

また着物を縫い合わせたときの柄の流れを考えています。

それを実現させるために社員が書いた柄合わせのイメージに従って裁断は山本呉服店の店内で私か母が行っています。

 

「初釜に着物を着たい」と無地っぽい刺繍の飛び柄がある小紋着物を誂えてくださったOさまの着物を例にして、裁っている時に考えていることをレポートしてみます。

 

裁断する前にもう一度検品します。

 

汚れ止めの「パールトーン加工」をして京都から戻ってきました。パールトーン加工をした時に少しかさばっている刺繍の部分の痕がつかないように丁寧に紙が巻き込んであります。

 

パールトーンさんで検品がしてあっても山本呉服店の責任において裁断する前に必ずもう一度検品し、全体の長さも確認します。

 

柄合わせをします。

 

刺繍が小紋のように全体に飛び柄である無地っぽい着物ですが、Oさまは初釜(お茶の席)に着られるので付け下げの柄の配置を習って左肩に刺繍の柄を配置しました。

この刺繍が左肩になるように裁断しました。衿や肩に出る柄は人目も引きますし、写真などにも必ず映るので良い色柄を選ぶよう心がけています。

 

仕立て上がった時に柄が横に並ぶと太って見えます。反対に柄が全くないところができてしまうと華やかさがなくなります。全体にバランス良く配置します。

 

左脇や背中心も全体に刺繍柄が斜めに流れるように配置しました。

 

腰から下に付ける裏地は八掛(はっかけ)と言って着物の色柄に合わせて決めます。少ししか見えないものですが意外に着物のイメージを決める重要なものです。

表地を裁断したら裏地を入れます。

表地に合わせた八掛を裁断して着物の上に置きます。八掛は腰から下だけなので上半分の胴裏(白い裏)を必要なだけ入れます。

 

山本呉服店では代々、店内で裁断しています。その理由は3つです。

 

①お客様にお似合いの柄合わせを実現するにはお客様の顔や体型がイメージできる者が裁断するのが一番良いことです。

ほとんどのお店ではサイズだけを書いて仕立て屋さんへお任せになります。でもそれでは大きさだけしか伝わりません。裁断の仕方一つで着物が全く別物になる場合も多いのです。「素敵に着ていただきたい!」それを最後に決めるのは裁断です。

 

②仕立て屋さんに裁ち損いのリスクを負わせない。

高価でほぼ一枚限りしかない着物を仕立て屋さんに責任を押し付けるのは気の毒です。また思うような柄合わせになっていなくても裁断してしまってあったら手の施しようがありません。店で責任を持ってハサミを入れます。それが大切な仕立て屋さんを守ることにもなると思っています。

 

③仕立てが早く出来上がる。

仕立て屋さんが柄合わせをしていたら縫い始めるまでにとても時間がかかります。それを店でやることにより直ぐに縫い始められます。なので急な仕立てであっても引き受けてもらえるし時間も短縮できます。

 

「反物で見ていた時よりずっといいのになったわ」「山本さんの着物は出来上がりが違うね」昔からよく言われました。

お客様の顔を思い浮かべながら裁断をしているからこそそう言われてきたと思います。非効率と言われても今後も裁断は他に任せず店内でやっていきます。

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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