男性の正装、着物の礼装とは☆男性の着物の選び方
「わー、おめでとうございます。この前のお茶会のイタリア人のカップルの方ですね」
「9月5日イタリアで結婚式なんです。間に合いますか?」
「どんなことをしても間に合わせます」
「着たい時が欲しい時」 着る方の気持ちを考えれば「絶対、NOと言わない!」のが染み付いている当店。
お話を聞いたのが5月、後にその約束が簡単ではないことを思い知らされたのでした。
男性の着物にはおおよそ4種類あります。
黒紋付 家紋を5ツ入れる礼装 新郎などの装い
お召し シャリっとした風合いで一般的に無地や細かい柄が多く、男性の正装に着られる。お茶席など
紬 産地によって生地感は違うが、オシャレ着として切る場合が多い
江戸小紋などの染物 生地風が柔らかい お召しや紬など織物(糸の段階で染めておった着物)に比べて色も鮮やか
結婚式にキチンとした正装、後々お茶会などにも着ていきたい、という目的も考えてシャキッとしたお召しが良いと思いました。
ちょうど京都、京都みやこめっせで開催の展示会「京裳苑」が間近だったので会場で見ていただく事になりました。
良いですね〜〜 絹の感触がとてもいいです。
深いところから出てくる光が美しいですね。
光の角度によって色が変わりますね。
大変気に入っていただけました。
「意味がある柄にします。外国人に日本の文化を紹介するにも鳥獣戯画は良いですね」
鳥獣戯画は京都市の北山にある高山寺を代表する宝物で、ウサギや猿、カエルなどの動物を擬人化して描いた絵巻物です。長襦袢の柄は手を動かすと袖口からも見えます。
男性の着物には羽織は付き物です。
以前はアンサンブルと言って、着物と羽織は全くもので作りました。
今は着物と羽織は別々に選んでその組み合わせを楽しみます。羽織専用の生地はなく、全て着物から選んでこれを着物、こちらを羽織でとオシャレにコーディネートします。
着物に帯を締めて羽織を羽織る、それで十分正式なのですが、袴をつけていただく事にしました。
男性の袴姿ってカッコいいですよね。
袴の生地にもおおよそ2種類あります。
・仙台平 白や淡いグレーに黒などの細い縞でキッチリ織られた硬い生地 黒紋付には仙台平です。
・お召しや紬 仙台平より少し柔らかい生地風
黒紋付を着るような正式の場には仙台平ですが、生地が硬くて立ったり座ったりするとすぐには戻らずガバッと上がってしまいます。私の個人的な好みかもしれませんが、あの姿が美しいとは思えません。そこで袴のメーカーさんの社長さんに相談してみました。
「私も甥の結婚式には縫い紋1ツ入れた羽織を着て紬の袴を履きました。新郎なら絶対、仙台平でしょうけど出席者は仙台平の必要はないですね」とのことでした。
仙台平もお見せしましたが、紬をお勧めしました。立った時もシルエットが美しいです。
着られるのは9月5日、
その前にイタリアへ出発、
それ以前にご自分で着ていただけるよう着付けを身に付けて頂かなければいけません。
「お盆くらいまでにできればいいですよ」と小島さんも言ってくださいました。
加工をサッサと回せば大丈夫!
男性の袴を仕立てられる方が激減しています。
男性の袴は後ろに台形の板「腰板」を付けなければいけません。それをつける技術を持った人がいないのです。
私が想像していた以上に仕立てられる方が無い、無い、無い、
着物の加工の最大手である会社も袴の仕立ては断っているとの事でした。
当店は米沢の生産者さんと親しくお付き合いしているため直接お願いすることができました。
でなければ、せっかく買っていただいてもお断りするしかなかったのです。
最短、お仕立てだけで2ヶ月!
何とかお盆に間に合い、京都のサロンで納品着付け教室をしました。
これで一安心! きっとイタリアでも大絶賛でしょう。
商品の手当ても加工も、その道のプロの方と結びついていることに感謝せずにはいられませんでした。
ひたすら日頃の人と人とのお付き合いの賜物です。
[関連記事]
イタリア人の結婚式、正しい着物で参加したい☆男性は着物に羽織、袴
ブログの読者登録、こちらからできます。
この記事へのコメントはありません。