着物はどこに収納すればいい?☆桐箪笥はなぜ良いか

きもの相談

「着物が積んであるけど、どうしたらいいでしょう」ご相談をよく受けます。

着物は洋服の整理ダンスよりも長く畳んであるので、引き出しの幅が長く必要です。

 

長さが合わないからといって、ダンボールの箱に入れるのは最も危険です

絹の着物は湿気が大敵で、カビの元になるからです。段ボール等の紙箱は、湿気を吸った状態で保湿してしまいます。

 

桐たんすは着物に良い?

 

昔から着物には桐ダンスと言われたのですが、なぜでしょう。

理由は主に5つ

1  湿度が低いと水分を吐き出し通風性が良くなり、湿度が高くなると水分を含んで目張りして湿気から守る

2 虫がつきにくく、腐りにくい

3 軽くて移動に便利

4 火災にも強い

昔、火事の時はタンスに水をかけて逃げたと言われます。

実際、私が金沢の呉服屋さんで修行していた時に、お客様の家が全焼しました。畳んで置いてあった泥大島は一瞬で燃えたそうですが、桐箪笥の中の着物は全て助かったそうです。消防車で水をかけた事によって桐が目貼りして水も火も煙も入らなかったそうです。

桐の発火点は425度、杉が240度程度なのと比べても燃えにくいです。(今の桐箪笥は裏面の木が薄かったり貼りだったりする場合も多く疑問ですが)

5 リメイクできる

桐箪笥の表面は汚れても、削り直しやリメイクすると新品のようになる。

 

桐の木の産地と現状

 

東南アジアから中国、日本、温かい地方に自生していて、北限は岩手県(南部桐)です。

木の成長に合わせて出来る色が濃い部分は硬いですが、色の薄い部分は柔らかいです

 

暖かい気候では木の成長が早く年輪の幅が広くなります。色が薄い部分は柔らかくてボソボソ、桐本来の役割を果たしません。

寒い地方の桐は大きくなるのが遅いので、年輪が詰まっていて硬く品質が良いとされています。桐材の中でも寒い地域で育ったものは、成長が遅く、目が詰まっていて堅い傾向にあります。そして、桐箪笥(桐たんす)は堅い桐材を用いるほど、耐久性や強度が高まるため、高品質な桐箪笥(桐たんす)に仕上がります。

岩手県は国有林のため伐採できず、新しいタンスを作るのは難しい状況だと聞きました。

 

桐タンスの値段は何で決まるか

 

「値段が大きく違うけどどこが違うの?」

1 桐の木の材質

一般的に年輪が細かいほど価値が高い すなわち北の方の桐は成長が遅いので良いとされる

2 作り

手間がかかるものは高価(引き出しや衣装盆の数や作り、箪笥の角や衣装盆の面取りや丸み、金具、塗装の種類など)

3 木の厚み 木の厚みがある方が良い箪笥です

タンスや引き出しに使われている木が厚みがあるほど高価となる

 

桐タンスの扱いで注意すべきポイント

 

桐は柔らかくて傷つきやすく、手垢がつきやすいのでタンスを触る時は手袋をするか、取っ手などを持つ様に心がけましょう。

それを防ぐためバーナーなどで表面を焼き付けたものも出ています。

表面をバーナーで焼いた桐タンス

 

どこに置くか、どんな着物を入れるか

 

直射日光が当たらず、できるだけ湿気が少ないところが良いです。一般的に1階よりも2階、下に置くよりクローゼットの上の方が良いでしょう。

高さ50センチで3段の引き出しであれば、一段に4、5枚は入ります。上の方に紋付や留袖(着る頻度が少ない、黒染めはなぜかカビが生えやすい)染物、紬はその下、 帯は一番下でも良いでしょう。

浴衣やシルック(ポリエステル)ウールなどはタンスに入れなくてもプラスチックなどでも大丈夫です。

 

 

5、6枚までの着物であれば桐箱でも良いのですが、2箱以上になるといちいち上の箱を下ろしてからしか取り出せないので不便です。先のことも考えながらストレスのない収納を考えたいものです。

 

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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