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「最後は人と人ですね」信念を貫く人と出会えました☆塩沢紬「酒井織物」さんとの心温まる出会い。

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「この塩沢つむぎ、かわいいよね~。こんなのを作っている機屋さんがまだ有るんだね」

十日町のクロステンの合同発表会で出会った塩沢紬を見て嬉しくなりました。新潟の産地でさえ絣を作る職人さんがもういないと聞いたのでとても危機感を感じていました。自分の目で確かめたいと思ったのも今回の新潟訪問の目的でした。

昨日は取引のある染メーカーさんを精力的に周り、仕入れをしたり作っていただくようお願いしたりしました。どのメーカーさんも制作に熱心で新しい商品の制作にも取り組んでおられたのでとてもほっとしました。

そして今日は気になっていた塩沢市のメーカー「酒井織物」さんを訪ねました。突然伺ったので出てこられた酒井さんは初めは怪訝そうでしたが、せっかく来たんだからとお話ししてくださいました。

酒井さんの伝統工芸士の認定証です。

 

奥様も製織部門(織り手さん)で伝統工芸士さんでした。

 

酒井織物さんはご主人も奥様も伝統工芸士で染め(絣作り)と織り、別々の部門を担っておられます。ここは塩沢紬を織っている工場だから見本品くらいしかないよと見せてくださいました。

 

「京都に次いで新潟は伝統工芸に指定されている産業が多いところだけど手仕事でコツコツやる仕事は着物だけじゃなくてどこも苦戦していますよ。職人の高齢化と手間ばかりかかることを評価してもらうことはとても難しいからです」と酒井さん。

 

と言いながら、「ガイヤの夜明け」や朝日放送でもなんども紹介された技術者です。

 

染め(白生地に絵を書いてある)ように見えますが、糸の段階で縦糸・横糸にそれぞれ色を染めて絣糸(かすりいと)を作り、織りながら糸を調節して柄にしていきます。とても繊細な手間のかかる作業です。

 

織物の中でも細かい絣柄を糸に染めて縦糸と横糸を合せて織っていくこと、次の世代につなげていくこと、熟練した職人さんを育てていくことなど課題は山積みです。大変さは本当に良く分かりました。その上で技術を守り良いものを作り続けていらっしゃる酒井さんご夫婦の気概に感動しました。

 

「ここへは時々工場見学に来る人もあるけど商品を一般の方に直接お分けする(売る)ことはしていません」長年の取引を大切にしながら新しい販路も広げていかねば先がないと言われました。

酒井さんなら分かり合えると思い、山本呉服店の姿勢をお話ししました。

メーカーさんと問屋さんを通さず直接お取引をお願いすることによって当店のお客様に合う商品に出会えること、できる限りお値打ちに仕入れてお客様にもできる限りお値打ちに提供したいと思っていること、そのためにこうして心あるメーカーさんと結びつきたいと訪ね歩いていること、着物を着ていただくために着付けのサービスやイベントを頻繁にしていることなどの取り組みをお話ししました。

酒井さんご夫婦も私の話にとても熱心に耳を傾けてくださいました。じっと私の目を見て話を聞いてくださった奥様の力強い視線に、反対にエネルギーをいただきました。

 

今日のところはどのような方がどんな思いでどんなものを作られているかを知りたかったのでお取引をお願いすることもありませんでしたが、帰りに奥様が

「きっとまた来てくださいね。その時は一緒に美味しいものを食べてお酒を酌み交わしましょう。私が生きているうちにきっと来てくださいね。」と言ってくださいました。

 

私たちも同志に巡り会えた感じがしてとても嬉しく心に温かいものを感じました。

 

「最後は人と人ですね」とお互いに確かめ合い、またの再会を期して新潟空港へ向かいました。

 

本塩沢と塩沢紬とは違います。酒井さんがわかりやすく説明してくださったので次回書きます。また見てくださいね。

京裳苑では本塩沢、塩沢紬だけでなく全国の紬が手に取って見られます。作り方の違いや制作にまつわる物語も聞けます。

 

着物選びに「京裳苑」は最高の場です!

 

第42回 京裳苑

◾️  とき   5月31日 (金) 6月1日(土) 2日(日)

◾️  場所   京都 みやこメッセ 1階  ( 平安神宮前 )

◾️  入場料  無料

ご予約を頂いた方のみにご招待状をお送りします。

「京裳苑」ってどのような催し? どんな内容なの?

 

6月は着物のメーカーさんが秋冬物の新作を業者に向けて一斉に発表する時期です。それをいち早くお客様に直接見ていただこうと始まったのが「京裳苑(きょうしょうえん)」です。今年で42回目になる京裳苑は岐阜の着物専門店、山本呉服店が一社で主催し一流のメーカーさんたちがみやこメッセの広い広い会場に見渡す限り一堂に出品してくださる業界でも唯一の素晴らしい展示会です。

3日間の会期中はそれぞれのメーカーさんの社長さんもしくは制作責任者の方々が会場へ来て頂け、自社のこだわりや制作秘話、思いなどを直接聞けるのも楽しみです。自分の手に入れたものがどのようなものであるかを知るとかけがえのない大切な宝物になります。

42年続いているのはひとえにお客さまの支持があってこそです。結婚前に親子で京都で選んで作っていただいた思い出と変わらぬ色柄の良さで、また代が変わっても親子、孫と一緒に京裳苑で選びたいと来ていただいています。

「見てみた〜い」という方はお申込みフォームでアドレスをお知らせください。ご案内状もありますので送って欲しいという方はメッセージの欄にご住所を書いてください。

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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