楽に着物が着られる「山本流着付け」の極意は十二単の着付けと同じ原理だった。

日本文化であそぼ

「ボンレスハムにされてきたわ~」東京のホテルで結婚式に出席されて帰ってこられたお客様が笑いながら言われました。

行かれる前にホテルから来た「準備するもの」には腰紐8本、伊達締め2本、、、などと書かれていました。いつも山本呉服店で着付けをさせていただいている方なので「こんなに沢山の紐どどこにするんやろね、使うところなさそうやけど?」と言いながら、遠いところやから足りないといけないから一応持っていくわ、とおっしゃっていたのでした。

 

「えーーーっ!あの紐、全部使ったの?」と聞くと、何も残さずに使われたよとのこと。

「きつくて息さえできなかったわ~。食いしん坊の私でもおいしいお料理が目の前にあっても食べたいと思えなかったもの。ああいう着付けをしていたらダイエットできるわね~」(苦笑)

 

天皇の即位で雅子様はじめ女官の方たちは十二単をお召しになりました。実際は12枚ではなくもう少し少ないのですが、何枚も重ね着をするには違いありません。一枚一枚、着るごとに紐でとめるのでしょうか?

 

違うんです。

一枚着ると紐で止めます。その上に次の着物を重ねて紐をします。そこで前の日も入らなくなるので引き抜くのです。

それを繰り返して着るので紐は結局1本なのです。日本人の知恵って素晴らしいですね。

 

実は山本呉服店の着付けはそれと同じ原理なのです。紐は1本だけ、ゴム製品を2本、伊達締め1本、以上終わり! 振袖も留袖も全てそれだけで着られます。

というのもその裏には工夫があります。

 

長襦袢は後ろの背中心に引っ張りが付いていてコーリンベルトを通します。衿先を左右の脇で止めると三角形ができて安定した形で止まります。中で体は動きますし、胃の上も締めつけていないのでいくらでも食べられます。

(たくさん腰紐を使われるところはここで腰紐で締めますし、大抵は伊達締めをここで締めます。)

 

その上へ着物を羽織って裾を巻きスカートのように巻き、そこで腰紐をします。その紐で長襦袢も止まりますし、衿抜き布が長くしてあるので衿も止まるというわけです。

 

たった一本の腰紐が全部を止める役割をしているからこそ楽に着られるのです。

 

本来腰紐は伸び縮みせず体に押し付けて止めるものなので、よほど熟練した方でない限り腰紐で止めようとすると着ている方はしんどくなります。

 

一本の腰紐がいろいろな役割を果たすのは十二単の着付けと似ていますね。

 

山本呉服店では天皇陛下のご即位を記念して「有職着物」を作りました。

十二単と同じ製法です。

訪問着、色留袖として着られます。

 

11月15日〜18日、山本呉服店・北方店で発表します。

 

[有職着物はこんな方にオススメです]

*人が着ていない着物が着たい方

*柄が多い訪問着は苦手な方

*ちょっとシャレた無地の着物を探している方

*シャンとした着心地の着物が好きな方

*天皇陛下のご即位、令和の記念に何かが残したい方

 

 

山本呉服店へご来店になってぜひ手にとってご覧ください。試着することもできます。

ご連絡いただければ京都店(山兵さろん)でもご覧いただけます。

お問合わせはこちらから

 

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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