「生け花」の心と、ディスプレーを整える心

日本文化であそぼ

お稽古事の中で一番嫌いなのは「生け花」でした。

花器や水を運ばなければいけないし、ゴミが出るので処理はしなくちゃいけない、お稽古して持って帰るとまた行け直す手間がかかる、ネガティブな理由ばかり!

花は確かにキレイだけどどうしても必要なものじゃない、、、学生時代、京都で教養の一つとして仕方なく習っていました。

 

 

今になって、習っておいてよかったなあ、と真剣思っています。

その一つが、店頭のディスプレーにもその心が役に立っているのです。

 

 

日本の生け花は基本「ありのまま」に生けます。

 

花は太陽の方を向いて大きくなるので向きがあります。

自然に咲いている様を再現するのを良しとします。

 

 

今日、お客様がお花を持ってきてくださいました。見事に咲いた牡丹とホトトギスでした。

例えば、お茶花としても珍重されるナルコランですが、向きによって同じ花と思えないくらい違って見えます。

 

どうでしょう?

どの向きが綺麗に見えますか?

葉っぱは表向いていますが、ナルコランらしい枝振りが見えません。

 

この方が自然で綺麗です。こちら向きの枝であれば右のほうに入れてあげないといけませんね。

 

「お花がいちばん美人に見える向きに生けてあげなさい」

 

葉っぱが裏向いていたらキレイに見えません。しなやかに弧を描くような枝振りがナルコランの魅力です。たった2週間しか咲かない可愛らしい花が見えなければ可哀想です。

 

生花として生けるには他の花とのバランスがあります。

一輪の花も、一本の木や草も生かして場所、高さ、奥行きを考えて配置してあげることを学びました。

 

どの花も喧嘩せず個性を生かして配置してあげるという気持ちが大切です。

 

 

商品もそうです。祖父が言いました。

「着物がいちばんキレイに見えるようにかけよ、ええとこへお嫁に行けるようにな」

 

 

高級な着物を撞木に短く書けたのでは安っぽく見えてしまいます。ゆったりとかけなければいけません。

ゆがんでいたらよく見えるはずなんてありません。

背景や周りにかけてあるものとのバランスでも引き立ちます。

 

 

お花を習ってたくさんのことを学びましたが、一番には「モノを生かす心」を学んだ気がします。

 

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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