はかないものへの憧れ1☆手すきガラスの歪み

日本文化であそぼ

「うちの座敷の雪見障子のガラスといっしょだ〜!」京都の町家へ初めて来た時に懐かしい感覚が蘇ったのは、揺らぎのあるガラスでした。不規則な波によって光の屈折が生じ、ガラス越しの景色がゆらゆらと見えます。

 

小さいときは座敷のガラスを通して庭を見ると庭がいびつに見えるのがとても変でした。他のガラスやサッシは外の景色がそのまま見えるのに、なんでこのガラスだけおかしいんだろうと思っていました。

 

整然ときれいなものだけがいいのではないことを理解するにはかなりの時間がかかりました。

 

このガラスは「大正硝子」と言って、明治から大正時代に製造されたガラスです。

当時の町工場などでは人が吹き竿で熱せられたガラスを円筒状に吹き膨らませます。それを冷ましてから縦に切って再び熱して板状に広げるというイギリスで確立された製造法でした。高温の中で、息の続く限りガラスを吹き膨らませるというとても重労働、かつ熟練者でないとできない過酷な仕事だったようです。

人の息でガラスを伸ばしている為に不規則なゆがみが生じるので、同じ形は二つとないのです。

 

 

和室と洋室の間には細い廊下があって、そこの窓には仲が見えないガラスが入っています。明かり取りにもなり、はっきりとはわからないけど人の気配は感じられるガラスです。

 

 

当時の人の息づかいが形として残っているこの大正硝子はとても貴重です。

壊れたらもう取り返すことができないはかないもの、だからこそ心惹かれるのかもしれません。

 

過酷な労働の中でも他人にできない技術を磨いて作ってくださった当時の職人さんの心意気の賜物でしょう。そのようなものに囲まれて暮らすのは心の贅沢ですね。感謝して大切にしたいものです。

 

つづく

 

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                          山本由紀子

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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