町家暮らしは不自由も多いけど心豊かな生活☆畳の調整に来て貰いました

由紀子の日々

「畳が所どころフワフワするんですよ〜」
何十年も経っている町家だから仕方がないとは思っていましたが、畳の沈みが気になって調整に来てもらうことにしました。

畳屋さんだけでやってもらえるのかと思ったら大工さんも必要とのこと。
畳床は同じ厚みで作ってあってもその下の床板が沈んだりフワフワしているのが原因なのだそうです。
床板をしっかり固定し低いところは板を打ち、足りない部分はゴザを敷いて高さを合わせるという結構大変な作業になってしまいました。

 

床板はわざと隙間が空けてあるんだそうです。低い所に薄い板やゴザの切れ端を埋めていきます。あまり沢山詰めすぎると隙間が無くなり空気が通わなくなってしまうのでやらない方が良いと言われました。

い草で作った畳床は息をするため床板の隙間が開けてあけてあります。年が経つと歪みが出てきてそういうことが起こってくるんだそうです。

 

「今の建物は土台をきっちりガチガチに固めた上に建てるんやけど、昔は空気が通るゆとりが設けてあったんや。床下の空気が通い畳床の湿気を出したり吸収したりすることで部屋の中が快適に過ごせるようになってたや」と畳屋さんが教えてくださいました。
町家は隙間風があったり底冷えがします。それは空気が通っている証拠でしょう。
でも今のマンションなどのように結露してカビが生えるようなことはありません。

 

 

震災直後の熊本城。瓦が滑り落ちています。

 

そういえば先日熊本の友人が来てくださって熊本の震災の話になりました。
熊本城が崩壊しなかったのも揺れがひどいと瓦が滑り落ちるようになっていたんだそうです。瓦が落ちることで屋根を軽くして柱を守ったんだそうです。

そういえばビルも揺れてバランスをとる工法に変わってきていますよね。

 

何もかも力で抑え込もうとする時代は終わったのかもしれません。

自然の摂理に敬意をを払い寄り添う事を選ぶ方が人間にとって心地よい生活が送れるのでしょう。

 

仕事が終わった畳屋さんが
「こっちの部屋見せてもうてええですか?」
と奥の洋間を見に行かれました。

「丸い天井を作れる左官屋さんも殆どいーひんわな〜」と関心して見てはりました。

「昔の小学校の校長室や〜。懐かしいな〜!校長室だけこんな照明と丸い天井になっとったわ〜、悪いことして呼び出された時しか見たことないけどな」と大笑い。

「電気の傘もあのころのやなあ」と懐かしそう!

和室へ戻ってきて
「今どき長押にこんな細工したあるなんて見たことないな〜、柄が変えたるしー」
と懐かしそうに金細工を撫でてはりました。

雁の柄が右と左で違います。部屋の中に7個あります。

 

金細工が施してあるのが「長押(なげし)」です。

ホームプロから引用

長押とは簡単に言えばハンガー掛けです。

徳川時代には1000石以上の大名しか長押を付けることを許されなかったそうです。明治時代になって身分制度がなくなると一般庶民でも家に憧れの長押をつけるようになったそうです。

確かに着物や洋服をちょっとかけるにも便利です。

 

「アレっ、こんな裏の見えへん天井に網代(あじろ)が貼ったあるわ!
見えへんからワシやったら天井板くらいのもん貼っとくけどなあ」
そこへ大工さんが来て
「今は網代の柄のを時々貼るわ、ビニールやけどな」
とニヤニヤ。
「ほんまもん使うたら高うつくしな、こんなん貼る人あらへんわ〜!全然見えへんのにな」

天袋の下にある梁の裏側に網代が貼ってあります。普通には見えません。

網代天井とは竹や木を薄く削いだ板を編んだものでお茶室などに使われます。

私は黙って聞いていましたが、
お布団を敷いて上を見ると網代はしっかり見えます。
きっとこんなことにも気付いていて使われたのだと思いました。

 

町家暮らしの不自由さ、寒さは小さい時から染み付いていて「四角い温かい家に住みたーい!」というのは小さい頃からの私の夢でした。
でも今は少しの不自由があっても私は自然に寄り添って生きてきた日本人の生活を「いいな〜」と思います。
ちょっとした工夫やこだわりに満ちた日本の暮らしぶりに豊かさを感じます。
「ゆとり」を大切にしながらしなやかに生きていきたいと思います。
マイナス面も不自由さもむしろ楽しみながら京都で町家暮らしをしていきます。

リフォームが完成したら「わ〜、素敵!」と言っていただけるお部屋になると思います。
皆さまをお迎えできるようになったらお知らせします。そしたら是非とも遊びに来てくださいね🎵

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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