着物の袖の長さは決まっているのでしょうか?☆良いものを長く使い続ける生活

きもの相談

「女将さんたちの袖丈って長くないですか?」吉田山荘さんへ「くれもえの会」で行ったときのことです。着物をいつも着ていらっしゃる方が気が付かれて質問されました。

吉田山荘さんでの「くれもえの会」の模様はこちらを見てください。

自分が着たい着物で日本を楽しむ☆「くれもえの会」創設5

 

確かに見た目でも長そうだったので、後日女将さんにお会いしたときに聞いてみました。

 

 

「私たちは毎日仕事で着物を着ているので、どうしても袖の下の部分が汚れます。汚れた部分を少しづつ短くできるように始めは少し長めにしておくのです」と言われました。

吉田山荘さんという最高の格式のある料理旅館の女将さんなので、私はてっきりお客様をお迎えされるために華やかさを演出するために長くされているのだと思っていました。意外な答えに驚きました。

 

 

今は普通の着物は1尺3寸(約50センチ)の袖丈にする場合が多いです。訪問着や付け下げは華やかな場所に着ることが多く、袖に柄があるので1尺5寸にしておきます。袖の長さが約8センチ違うだけで優雅な印象を与えます。以前はもっと色々な袖丈にしたものですが、長襦袢が合わないと困るので大体2種類にしています。

 

吉田山荘の大女将さん(中)は本場黄八丈を着ていらっしゃいました。この着物の袖丈は1尺3寸だそうです。先日の着物とは袖丈が違うだけでも印象が違いますね。

 

後日お尋ねしたその日、女将さんは本場黄八丈をお召しになっていました。ほんのり茜色が滲み出てくる深みある生地の様は呉服屋の私が見ても素晴らしかったです。

 

本場黄八丈は八丈島で織られている独特の紬です。黄八丈独特の深みのある黄色は「刈安(かりやす)」というイネ科の植物から抽出した純植物染料で染めた糸で織った紬で、大島紬のように表面はツルンとした風合いです。女将さんが着ていらっしゃる樺色はマダミ(タブの木)の樹皮から染めてあります。

とても手間がかかり、職人さんも少なくなってしまい、製法を保護するために東京都から伝統工芸品の指定を受けています。毎日このような素晴らしい着物を着ていらっしゃることに「さすが吉田山荘さんの女将さん」と思いました。

 

「この着物はもう何十年もなるので順番に少しづつ切っていくうちに普通の袖丈になりました」と微笑んでいらっしゃいました。良いものを長い年月、大切に着続ける豊かさを感じました。

 

戦後の復興と経済の発展で新しいものに買い替え、次々と使い捨てにしてきました。

そういう使い捨ての生活が本当に豊かなのでしょうか?

着物だけでなく、どんな物でもそうです。

職人さんが心を込めて創られたものを大切に使い続ける、

大切に扱って人生をいっしょに年を重ねていく、

そういう「心の豊かさ」を求める生活こそ、自分を大切に生きることではないかと思うのです。

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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