「自然」に学ぶ着物のカラーコーディネート☆高田郁著、人気小説「商い正傳 金と銀」10巻発売されました。3
「中縹(なかはなだ)の蝙蝠柄(こうもり柄)の小紋に浅黄(うすき)の帯を巻き、髪には件(くだん)の櫛。何とも爽やかな色香の漂う菊栄の佇まいだ。」<商い正傳 金と銀より>
「こうもり」は田畑の害虫を食べてくれるので、おめでたい柄として流行しました。
小説「商い正傳 金と銀」の中での色の表現がとても情緒的ですね。
イメージできますか?
「中縹色」は古代の藍染 めの色名で少し暗い青色のことです。「縹色」は藍染の色で濃淡によって4段階の濃さを表す表現があります。中縹は濃い方から2番目です。
「浅黄色」は苅安草(イネ科の草で黄八丈の初めにも使われている)と灰汁で浅く染めたうすい黄色のことです。
「藍染の無地の木綿の単衣、帯は月白。すっきりと涼しげな色合わせだった。」
「月白(げっぱく)」とは、月の光を思わせる薄い青みを含んだ白色のことです。色名の月白を「つきしろ」と読むと、月が東の空に昇るの際に空がだんだん明るく白んでいく様子を指し、特に月見客が十五夜を待ち焦がれる思いを表現しました。
色によって情景だけでなく、気持ちまで表現したのですね。
小説の中でも、商売に苦悩しながらも夜明けを待っている様が掛け合わされています。
自然の色の組み合わせにはミスマッチは一つもありません。
草の花に合う葉っぱの色は比較的薄い色です。
椿の赤やピンク、白といった深みのあるはっきりした花には、深い緑の葉っぱが似合います。
この朝焼けの色でもそうです。
刻々と移り変わっていっても、その一瞬一瞬で常に素晴らしい組み合わせになっています。
着物の色合わせは無意識で合わせているところもありますが、
日頃から自然や四季の移ろいに敏感になって、五感を磨くことが大切なのではないかと思います。
きっと紙に印刷された色環で学ぶのより、深い学びがあると思います。
平安時代の十二単はその人のイメージを襟の「重ね色目」で表していました。
日本の伝統的な色に季節や風景から名前が付けられたことからも、昔の人が暮らしの中で色彩を楽しんでいた様子が思い浮かびます。
「商い正傳 金と銀」は江戸時代の呉服屋の物語であることもあって、ふんだんに大和色の表現があります。
色の表現から情景のイメージを膨らませたり、主人公の思いを汲み取って読むのもいいですね。
私はそれもこの小説の楽しみの一つです、
続く
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