「日本一も上がりやすい階段」はなぜ登りやすいのか?☆寸法を測ってきました。

由紀子の日々

「日本一上がりやすい階段」をフェイスブックに投稿したところたくさんの方からリアクションをいただきました。

 

その階段はある染め問屋さんの会社にあります。一階は事務所で二階が展示会場になっているので必ずその階段を登ることになります。

階段を上ろうと思うとストレスを感じるのが普通なのですが、ここの階段を登るのにそれを感じることは全くありません。

 

さっさと登る気になれるのです。

登りやすいです!

 

 

その会社の建物が壊されてマンションになることになりました。

聞いた瞬間

「あの階段はどうなるんだろう?」

 

と思いました。

それは私ばかりではなく、他からも言われたそうで、

社長さんは壊す業者に「この階段を残せないものか」と相談されたそうです。

 

「日本一登りやすい階段」の木の質はたいしたことない、それなら余計にその正体はどういうことなんでしょう?

 

 

「こんな木、たいしたものじゃないですよ」と言われてしまったそうです。残そうと思ったら壊す経費がとても高くなると言われ、一蹴されたそうです。

 

残念で仕方なかったのですが、どうしようもありません。

 

そしたら、浜松市で北欧の暮らしを提案する都田建築さんのテーマパークドロフィーズで庭の設計などを手がけていらっしゃる小田純衣さんから「ここを図っておいてください」とメッセージを頂きました。

やはりその道のプロです!

的確な指示をいただきました。

 

 

「この寸法を測ってもらったら再現できるかも」と図る場所を指示してもらえました。

 

そこで壊しにかかられる前に、もう一度 会社へ行って測らせていただきました。

a  水平部分   32  センチ

b  垂直部分   17 センチ

c  凹み          3 センチ

d 板厚     3  センチ

e 巾     109 センチ

f             17 段

 

引越しが終わった会社は全て閉じられていました。階段だけではなく、会社の設計そのもののデザインがゆったりと高級感があって好きだったので、最後に写真を撮るつもりでした。でもその静まり返った佇まいに悲しくなって撮る気は失せました。

 

何かの参考になればと思い、このブログに残しておきます。

 

 

「この階段はとても大切にされてきたんですね」

どなたかがメッセージを下さったように、

「日本一も彫りやすい階段」は物理的な数値の問題だけではないのだと今は確信します。

 

 

木はひょっとしたらラワン材ほどのなんでもない木かもしれません。

でもそこに込められた思いが登りやすくしていたとしたら・・・

 

逆に、なんでもない木が皆にそう言われる不思議?

 

その本質は壊されてしまったらもう分からなくなってしまいます。

残念です!

 

 

昨日も京都のサロンの近くへ買い物に出かけたら、2軒に覆いがかけられ取り壊しの看板が付いていました。

「ああ、また歴史が無くなっていくんだなあ」

 

日本一も登りやすい階段ももう取り壊されました。

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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