着物業界の常識は当たり前じゃない3☆ライブをやりながら考えたこと

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着物を見ていただく上で、前提になることを先にお伝えしなければいけないと思いました。

 

例えば、着物を広げて衣桁(いこう:これも解説しなければいけませんでした)にかけて展示していますが、この道具さえ一般に使わないどころか、馴染みのないものです。

 

まして、掛けてある着物が着るとどのようになるのかなど、想像すらできないでしょう。

 

それを着るとどのようになるかを見ていただくことから始めるべきと思いました。

 

訪問着がかけてあるのが衣桁です。幅の狭い着物の生地の継ぎ目も柄が合うように染めてあって、着物全体が一枚の絵のようになっています。

 

 

着物を見慣れている方であれば、どこが前になり、いちばん目立つところかということも想像できるのかもしれません。

 

むしろ一枚の絵のように掛けてある着物が、まとった時はまた違った絵になることを知っていただきたかったのです。

 

 

絵を描くキャンバスは一枚の絹地でできています。

 

着物も絹地ですが、幅が38センチ弱しかなく、その継ぎ目でさえ両方から色柄をきちんと合わせられるなんて本当に魔法のような技に違いありません。

 

帯もタペストリーのようにかけてありますが、

結んだときどうなるのか、

どこがお太鼓になるのか、

帯の前はどうなるか、

などなど、イメージできないでしょう。

 

どちらもいいですね〜!右の小紋の上に合わせているのは細帯(小幅袋帯)です。好きな柄を2本合わせてリバーシブルに仕立ててもらえます。前で結んでくるっと回すから結びやすく可愛いいスタイルになります。

 

反物ののように巻いてあるものが着物なのか帯なのかも分からないでしょう。

 

反物がどのような着物になるかも分かりません。

 

 

要するに、

前提となることをお話ししなければ、ただキレイな素晴らしい布が並んでいるに過ぎないのではないかと気づいたのです。

 

 

「ライブ中継をやる」とお知らせしながら、

会場の着物を見ていただく、雰囲気を知っていただく、職人さんのお話を聞いていただくこと以外、何も決めないまま始めました。

 

何を話すのか、

シナリオも項目さえも決めずに突入してしまったライブ中継でしたが、

そういった着物の見方、当たり前にしていることも知っていただきたかったのです。

 

その前に、私たちが当たり前としていることは、いかに日常からかけ離れているかを自覚することから始めなければいけない、

もっともっと丁寧に伝えていかなければいけないと思いました。

 

 

いろいろなお話をしながら考えたことは、自分にとってこれからのあり方に一つの指針となりました。

 

つづく

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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