「一斗二升五合」の意味は☆「判じ物」「判じ絵」とは何?
祇園のある料理屋さんへ行った時のことです。
柱に細い木片がひっそりと貼り付けられていて、そこには
「一斗二升五合」の文字が墨で書かれていました。
なるほど・・・
「春夏冬」というのを見られた方も多いのかもしれません。
こういうのを「判じ物(絵)」と言います。
「判じる」とは、推し量って考えること。
明確な絵解きのマニュアルはなく、作者の意図を推測しなければ解けません。
いま流行の「ひらめき」でしょうか。
描かれた様子が解答とは限りません。
犬を「ワン」、キツネを「コン」と読ませたり、
鈴が「リン」、三味線が「ベン」、円形が「わ」だったりします。
サルに濁点を付けて「ざる」、妻が逆立ちをして「松」などもあります。
その法則を使うと、この場所は
「歯」に「猫」が反対になっているので「コネ」
はこね(箱根)ですね。
有名なのは、こんなのも、
あ・さ・臭い(くさい)→ あさくさ(浅草)
判じ絵の起源は正確には分かりませんが、江戸初期には原型ができて、中期にはほぼ形が整ったと言われています。今でいうなら、雑誌や漫画本を楽しむようなものだったのかもしれません。
朝、家々に問題を投げ込み、夕方に答えを売り歩く商売もあったらしい。おおらかさや「しゃれ」「粋」といった時代の空気が伝わってきます。
最初に戻ります。
「春夏冬」は「秋がない」ことから「商い」
「一斗二升五合」は
一斗が「五升の倍」なので「御商売」、二升は「升(ます)が二つで「益々」、五合とは「一升の半分で半升(はんじょう)」なので「繁盛」ということになり「御商売益々繁盛」という意味になります。
桜の時期、京都のおばあさんの話を思い出します。
京都では有名な「御室(おむろ)の桜」
御室は金閣寺より少し西、そこにあるのが世界遺産の真言宗のお寺「仁和寺(にんなじ)」です。
そこには背丈が低い特別な品種「御室の桜」が200本ほど植わっている御室桜苑があります。
「御室の桜と言われて喜んだらいけませんよ」
私が えーー、っという顔をしたら
おばあさんは笑って解説してくれました。
御室の桜は木の背丈が低いから、花が低いところに咲くの
「鼻が低い」とかけて、
御室の桜のことを「おかめ桜」というの
だから、「桜」はキレイでも「おかめ桜」は醜女(しこめ)のことを指すのです。
そこで、おばあさんはもう一度笑って、
「じゃあ、山桜は?」
頭の固い私は答えられませんでした。
山桜は、鼻が咲くより先に葉っぱが出るの、
だから出っ歯のことですよ。
自分で言ってニヤっと笑いました。
実は「御室の桜」を私はまだ見たことがないのです。
御室の桜の開花は京都で最も遅く、今年は満開が4月10日、桜吹雪が15日の予想です。
散々、あちこちで桜を見て散った後です。
「まあ今さら桜を見に行かなくても」と思ってしまうのです。
おばあさんを思い出したところで、今年は「御室の桜」を見に行くとしましょう。
「品格の教科書」は全国の書店さん、
またはアマゾンで手に入ります。
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