玄関での靴の脱ぎ方☆「品格の教科書」P31後ろ向きに靴を脱ぐのはマナー違反である2つの理由

品格の教科書

いきなりクイズです。

玄関で靴はどちら向きで脱ぎますか?

 

①後ろ向いて脱ぐ。

 

①後ろを向いて履き物を脱ぐ。

 

②前を向いたまま脱ぐ

 

②前を向いたまま履き物を脱ぐ。

 

 

「品格の教科書」を読んでいただいている方はもうご存知ですよね。

 

正解は②です。

 

 

①が間違っている理由は2つあります。

一つには、脱いで靴が揃わなかった時、足でちょんちょんと揃えることになります。

もう一つには、後ろ向きになることによって、その家の人にお尻を向けることになります。

失礼ですよね。

 

 

前向いて靴を脱ぎ、

上がった後靴の方に向き直って斜めに座って、

履物の向きを変えます。

 

斜めに座って、履き物の向きを変えます。

 

体の向きを変える時、壁側にお尻を向けるようにして回転すると、より美しいです。

 

 

 

茶室のにじり口は畳半畳ほど(90センチ✖️90センチ)くらいの小さな出入り口です。武士も刀を預けて丸腰でお茶を飲むことで戦争を回避することもできたと言われています。

 

 

この作法は室町時代、茶道では茶室へ小さな「にじり口」から入るためにできたと言われています。

 

履物を美しく揃えておくためにも、退出する時に履きやすいようにするためにもこういった礼法が生まれました。

 

 

例外はトイレです。昔からトイレは「御不浄」と呼ばれ、汚れた場所として家の外にありました。次第に、家の中にトイレが設けられるようになっても、不浄を部屋へ持ち込みたくないので、トイレ専用の履物を用意しました。

スリッパを揃えておくためにも、次に履く人のためにも、不浄のトイレのスリッパには手を触れずに後ろ向きに脱ぐのが作法となりました。

 

 

ですから玄関で後ろ向きになって履き物を脱いだら「ここはトイレです」と言っていることになりますから要注意です。

 

 

玄関もトイレも「結界」です。

結界とは、あの世とこの世の境、夢と現実の境、外の穢れを持ち込まない境です。

その境を越えるには注意が必要ですね。

 

 

戦前までは一般の家庭でもお客様の履物の向きを変えるのは、迎える側がすべき事とされていました。今は家側の管理人がいない場合が多く、家人に手間をかけないと言う意味でも自分で向きを直すべきです。

 

老舗料亭には今でもベテランの下足番の方がいらっしゃって笑顔で迎えてくださいます。

 

今でも老舗料亭へ行くと下足番の方がいらっしゃって「お履き物はどうぞそのままで(お上がりください)」と声をかけてくださいます。

その場合は、少し斜めに履き物を揃えて前向きに上がり「お願いします」と軽く会釈すれば良いのです。

ドキドキする必要はないのです(笑)

 

 

両方の履き物が離れれば離れるほど、乱雑に見えます。

 

 

履物は両方が離れれば離れるほど無作法な脱ぎ方となります。

脱ぎ散らかした履物は美しくありませんし、後から来られた方にも迷惑をかけます。

 

 

「国民教育の父」と言われる明治時代の教育哲学者「森晋三」さんは

「躾の3原則」に「挨拶」「はいと返事する」「履物を揃える」を提唱されました。

この3つさえしつければ、他のことはなんでもできると仰いました。

 

 

靴の脱いで揃えることは作法の基本となる大切なことなのですね。

 

 

 

[関連記事]   「結界」についてこちらもご覧ください。

お地蔵さんも畳のヘリもみな「結界」ってどういうこと?

「結界」を知ると人間関係が良くなる3☆「品格の教科書」P134「結界」を知らないのは下品です

 

 

 

品格の教科書」は全国の書店さん、

またはアマゾンで手に入ります。

 

 

 

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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