それは、母の嫁入りから始まった☆「山本流着つけ」誕生物語 1
着付け
母はオシャレが大好きで、洋服が大好きでした。
女学校を卒業すると、あのコシノジュンコさんも生み出した「文化服装学院」へ通い、岐阜市では有名なオーダーメイドの洋装店でデザイナーをしていました。
お客様がいらっしゃると形を決めて、生地を選び、スタイル画を描きます。採寸して、原型(洋服の型紙)を起こし、縫い子さんにお願いします。仮縫いで調整をし、出来上がったら納品するという仕事でした。
着物には全く縁のない生活をしていた母が、いきなり呉服屋へ嫁入りすることになりました。
結婚式は12月12日、年末のいちばん忙しい時期でした。猫の手も借りたい状況で、翌る日から店へ出ることになりました。
その頃、普通のお家でも「新嫁さんは3ヶ月は着物で過ごす」風習でした。
まして呉服屋です。
「どうやって着たのか、覚えていないわ」何度聞いてもそう答える母。
誰かに教えてもらった記憶もないそうです。
着物なんて着たことなんてないのに、必死だったのでしょう。
いきなり着物を着て、掃除、洗濯、炊事など家事をこなし、呉服屋の仕事を覚えなければいけませんでした。
朝起きたら夜寝るまでずっと着物です。
さっさと早く着るにはシンプルな方法でないといけません。
着崩れしても着なおすなんて暇はないので、動いても着崩れない方法を考えました。
動くにはラクに着ていなければ疲れてしまいます。
そういった毎日の暮らしの中で工夫し、改良を加えていった独自の着方なのです。
そんな風に生まれた着方だからこそ、誰でも着られて、楽に着物を着られるのです。
「お客様にもこの楽な着方で着ていただきたい」
私も娘(現社長)も社員たちも皆その着方を習い、引き継いで、
山本呉服店で買った着物は「着付け一生無料」を実現しました。
朝、どんなに早い時間でも 定休日でも、社員たちも協力してくれてほぼ「NO」と言わず40年以上もお客様の着付けを続けてきました。
しかし、何人ものお客様から「着付け教室をやってほしい」と言われました。
当店では着付けをして差し上げているから着付け教室は必要ないと思っていたのでした。
続く
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