金加工の技術の現場は今5☆熟練した職人さんを育てて、妥協なく最高の着物を作り続ける「染めの百種 矢野」☆

きもの豆知識

今回連れて行っていただいた職人さんの仕事場は皆ご自宅でした。家にこもってずっとコツコツやっていらっしゃるという感覚の家内工業です。

京都の階段は狭くて、足が半分しか乗らない細い急階段を上った2階が工房でした。

金加工の職人さんもそんなところでお仕事をしていらっしゃいました。

 

 

「金」と言ってもたくさんの種類があります。

金の純度で色も違います。

 

金の純度や柄によって色々に使います。

 

金加工の職人さんのところでは主に3つのやり方を見せていただきました。

 

1)金で線を描く

 

 

ボタンや菊の輪郭が静かに光っています。

 

線をキラキラ光らせたい時はこの粉を溶かしたもので上から書きます。

 

2)縁取りなどで少し太い線をアレンジする

 

松の柄の部分だけ鋭い小刀で切り取っています。

 

金を入れたい部分を覆うように水色のシールを貼ります。

少し粘着性がある透明なシールを金を加えたい部分だけ鋭利な刃物で切り取ります。

 

丸い筒の中には金箔が入れてあります。

 

 

筒状のようなものの下に振るい器のように網があっていて、棒で中をかき回すと金が少しづつ生地の上に乗ります。シールのノリが薄くついているので、金がくっつきます。

3)広い面に金箔を貼る

 

 

ビニールシートを模様の形に大きく張って、ふわふわとした金箔を乗せます。

上からしっかり定着させます。

 

写真上の方が金箔を乗せたばかりの状態、下が定着させて完成した部分です。

 

今回は糊糸目、彩色、金加工の職人さんを訪ねました。

一枚の着物が出来上がるまでにはたくさんの職人さんが関わっています。

どの技術が一つ抜けてもできません。

 

「どんなに一生懸命にやっても、自分の手を離れたら2度と会えないんですよ」

何十年も磨いた技術で精魂込めて染めた着物は子供をお嫁入りに出すような気持ちだと言います。

着物を纏う時、そんな職人さんへも思いを馳せたいものです。

 

友禅染めが出来上がるまで、全体の流れはこちらをご覧ください。

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品格の教科書」は全国の書店さん、

またはアマゾンで手に入ります。

 

 

 

山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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