「洋服」と「着物」の根本的な違い 1

きもの豆知識

このトルソー違い、わかりますか?

体型が全然違いますね。

左側はよく見る洋服をかけるためのトルソートルソー、右側は着物用のトルソーです。

 

 

左はバストは寄せてあげてあげて、胸はツンと突出しています。

ウェストはきゅっとしまって、ヒップにはハリがあります。

立体的でそれぞれの部位を強調させた体形です。

 

 

それに対して右側のトルソーは起伏がほとんど無く、なだらかなラインで平板です。

 

 

どちらも商品を飾るためのものですので、きれいに見える体型をしているわけです。

この違いは、着せる洋服と着物の文化違いにあるんです。

 

布は平面、二次元のものです。それに対して人間の体は丸くて立体的、複雑な形をしています。

 

洋服の祭壇押し方

 

洋服は人間の体に合わせて布を複雑に切って立体的に縫い合わせます。

簡単に言えば、人間の形をした袋を縫い、体にかぶせる感じです。

 

 

着物は幅38センチ、長さ約12メーターの布を殆ど切りません。

それに対して着物は布はほとんど切らず、平たいまま縫い合わせます。

着る時に体に合わせて纏います。

 

風呂敷で物を包むように、着物で体を包むのです。

平たい布を巻き付けるにはできるだけ平板な方が都合いいのです。

そこで、昔は胸を押さえるように晒(伸び縮みしない綿の布)を巻きました。

 

 

人間の体を優先するか、布を中心に考えるか、根本的に正反対なのです。

 

そこで生まれてくる違いは

洋服は「大きくなったりしたら入らなくなるので他のものと変えなければいけない」のに対して、

着物は「身長10センチ、体重10キロ変わっても纏い方で着られる」

 

着物は縫い替えられることから、冬の着物の裏をとって暑くなっても着られるようにすることもできます。

また、サイズを変えて親から子に継承することもできます。

 

着物を布団や座布団に再生することもありました。

 

 

着物は最小限しか切ってないからこそ、とてもサステナブルな衣服なのです。

 

 

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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