洋服と着物、形だけじゃない根本的な文化の違い

着付け
洋服と着物、形も見栄えも違いますが、根本的に布と体との関係「衣文化」に対する考え方は全く違います。

洋服の裁断では必要な部分だけ切り取ります
外国の衣服はほぼ立体裁断。平たい布を切り刻んで体の形に縫い合わせる。体の形をした袋を被せるようなものです。
つまり、布を体に合わせます。

着物は12m以上の生地をまっすぐに最小限に切ります。まっすぐ切ることで布目もほつれにくいので繰り返し使えるのです。

着物では片山も繋がっています。
日本の着物はほとんど布を切らずに縫い合わせて、大きな風呂敷のようなものを作、体に合わせて着ます。それが着付けの技術です。
欧米において、憧れは鍛え抜いた肉体美、ローマの彫刻のようなムキムキの体を誇張することこそ美しさだったのです。だからこそ、身体の線がくっきり出る衣服として発達していったのです。
洋服は体に合わせてあるので簡単に着られますが、大きさが変われば違う服に変えなければいけません。
それに対して着物は体の線をむしろ見せないよう包み込みます。大きな布ですから5キロ太っても、5センチ身長が違っても包み込めます。
戦前までは着物はゆったりと羽織るものでした。

明治時代の着物の着方はゆったりと体を包み込んでいました。
今、そのスタイルを見ると太くてぽったりと見えますが、シワもドレープとして美しさの象徴でした。
戦後、
急速に洋服の生活になるに従って、洋服の美意識が主流になりました。
ほっそりと足長に、シワは一本も無い方がいい
着物もその価値観で着ることが美しいと変化して行きました。
「着物は苦しい」 そこから着物の悲劇が始まりました。
[関連記事]
「洋服」と「着物」の根本的な違い 1
ブログの読者登録、こちらからできます
この記事へのコメントはありません。