神社のガラガラと柏手パンパン

日本文化であそぼ

「あれっ、ガラガラの紐がない?」コロナの影響で神社ではガラガラが取り外されたり、紐がなかったりしています。不特定多数の人が触れるのはダメなんでしょうね。私は滅多に慣らさないのですが、ちょっと寂しい感じがします。

 

通称ガラガラの正式名称は「本坪鈴」(ほんつぼすず)と言い、巫女が神楽を奉納するときに鳴らす神楽鈴だと言われています。

神社でお参りする時、本坪鈴を鳴らした後、二礼二拍手一礼します。ガラガラ、パンパンはなぜするでしょう?

 

ガラガラも手を叩くのも、音で神さまを呼び寄せる力があると考えられていたからです。神社などで催される神事では太鼓や笛や琴などが奏でられますが、これも楽器の音を使って神さまを呼び出そうとするものです。

 

子供の頃、祖母から「神さまって寝坊でいつも寝てはるから大きな音を出して、お参りに来たよ~、ってがガラガラや拍手で起こさないとお願いを聞いてもらえないんだよ」と教えられました。今でもできるだけ大きな音がするように柏手を打ってから名前を言って誓いを立てています。未だに祖母の説「神さまに気付いてもらわないと意味がない」気持ちがするのです。

 

人に対して拍手するのも神さまが関係していると考えられています。大勢で手を叩いてその音で神さまを呼び寄せ、賞賛する相手に祝福を与えようと言うわけです。

日本人はすでに弥生時代には手を叩いて相手を褒めていたようです。3世紀の日本について記した魏志倭人伝には身分の低い人がが高い人に出会うと拍手をした、また日本書紀には持統天皇の即位の際、群衆が拍手したことが書かれています。手を叩くことによって、敬意を示していたのです。

 

音を立てるのは神道独特のスタイルと思われるかもしれませんが、拍手は世界に共通する喜びや賞賛の表現方法です。

コンサートで素晴らしい演奏に出会った時やスポーツ選手がファインプレーを見せたとき私たちは賞賛の気持ちを込めて拍手をします。結婚式や誕生パーティーなどおめでたい場でもよく行われますが、これも神様を呼び寄せ祝福しようとする気持ちの表れだと言われています。

拍手をすることに特に理由なんて考えたことはあまりありませんでしたが、お正月のガラガラがなくなったことでな~んか変な感じがしました。

「なんか変な気持ち」それって日本人に組み込まれたDNAなんでしょうね。

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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