正札販売を貫いた父の強い意志を継ぐ☆商業界の精神「店はお客様のためにある」の実践
「呉服屋が一銭も負からんなんて無いやろ」御子息様の結婚式にと高額な帯を買ってくださった奥様が帰られた後、ご主人様が大変な勢いで来店されました。
山本呉服店では父(3代目社長)から正札販売をもっとうとしています。その前の代でもほぼ値引きはしていませんでしたが、父が商業界ゼミナールに参加して信念を持って厳格にしたのでした。
東海地方は喫茶店でもモーニングというと飲み物代だけでトーストや卵だけでなく、サラダにバナナ、茶碗蒸しまで付いてきます。紡績会社の跡地を中心にショッピングセンターが乱立して安売り合戦!お茶ではブランドのI社の200ccのペットボトルも27円で目玉商品に出されます。
そのような土地柄で「正札販売」をするのはとても勇気がいり、貫くには困難を極めました。
値引きができるのは初めから値引きありきの値段が付けられています。
お客様にとっては 少額の値引きはもっと頑張ればもっと安くなったかもしれないと思われるでしょう。一方たくさん値引きをしてもらえたら、この帯は一体いくらのものだったんだろうと不信を持ちます。
どちらにしても満足感はありません。
この帯がいいなと思ってもそれから値引きバトルをしないとそれが手に入らないのは悲しすぎます。
なので当店では、最初から値引きを言われなくてもそれ以上値引きできない札をつけています。
ということをご主人様に誠心誠意お話ししました。
結局その方は怒ったまま帰られ、帯はキャンセルになりました。
「一生懸命、話したけど怒ってしまわれて分かってもらえなかった」と報告すると父は
「それで良かった」と笑顔で話し始めました。
「そのご主人は怒ってあちこちで話して歩かれるやろう。山本呉服店はとんでもない店や!あれだけ言っても一銭もまけへんかったと。
それで、ええんや。
それを聞いたお客さんはどう思う?
私はまけてくれとは言えなかったけど、あの札のまま買ってよかったんやなーと安心されるやろ。
そのご主人が怒って喋れば喋るほど安心する人が増えて、それが山本呉服店の信用になるんや。
強硬にまけてくれというお客さんと、山本呉服店を信用して黙って買ってくださっているお客さんとどっちが大切や。よう言わん人が損するなんて間違ってる。
良かった、良かった!!! 」
ヘトヘトになって帰ってきた私に父のあの笑顔と話はいまだに心にしみる思い出です。
実は後日、奥様が「主人はあんな事を言ったけど私はおたくを信用します。あの帯はいただきます。」とお店へ来てくださいました。
帯が売れた事よりも、気持ちが通じたことが嬉しくて涙が出ました。
商業界ゼミナールで父が一緒に学んだ方たちは、1軒の小売店から超大手のショッピングセンターやチェーン店を作って大成功されています。
父は亡くなるまでいつも「自分は商業界の落ちこぼれや」と口癖のように言っていました。
でも私にとっては商業界の精神「店はお客様のためにある」を生涯貫いた最も尊敬する経営者です。
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以前開催の花街セミナーの模様はこちらをご覧ください。(一部内容が違います)
「一見さんお断り」に見る350年続く会員制ビジネス、セミナーを開催しました☆舞妓さんのおもてなし術
舞妓さんはキレイなだけじゃない、高度技術専門職☆芸を磨いたおもてなしのプロです。
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グッとくる話ですね。
お父様の考え方、生き方が素晴らしいです!
呉服業界の商慣行の在り方を真剣に考えていかないといけません。
売り手だけでなく、作り手もお客様の気持ちを第一にものづくりをしないといけないと思いました。